法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』ちょっとズルくない!?

インターネットでコンピュータウイルスに感染したような表示をして、虚偽のサポートで金銭をしはらわせる詐欺と、それに対抗する運動「スキャムベイター」を紹介。
たいていは詐欺師にからかう電話をかけて、その反応をふくめてネット配信するようなシャレにとどまる。しかしジム・ブラウニングという仮名の男は詐欺師チームをハッキングして監視カメラを乗っとり、まるで近代的オフィスのサポートセンターのような光景を映しだす。こちらは電話でからかわれる詐欺師メンバーの姑息な対応が映像として見られて格段に楽しい。
そうした詐欺師はよくインドに拠点をもっており、先進国の下請けIT会社の人材を引きぬいて、高額の収入を叩き出している。代表者はFacebookを開設して、実業家として大成する夢を語っていたりも。今回の通報で詐欺師チームのひとつは壊滅したが、社会状況が変わらなければイタチごっこだろうな、という印象を受けた。


次に、二ヶ国で別々に起きた映画のような大規模盗難事件を紹介。
世界のダイヤモンドの八割が集まるベルギーで、アントワープにあるワールドダイヤモンドセンターが舞台。紛争映画『ブラッド・ダイヤモンド』でも人命で利益をすいあげる場所として印象的だった場所だ*1

そんなダイヤモンドの集積地の地下金庫へ、2003年に窃盗チームが潜りこんだ。まず二年かけて貸金庫の顧客となり、ダイヤル錠を動かす姿を盗撮して、開錠できる数字をわりだした。閂にある磁気センサーは扉ごしの強力磁石で反応を止めて、黒テープや断熱材で各センサーの監視を逃れ、熱感知センサーは前日に入った時に整髪スプレーを吹きつけて反応を止める……そんなチームだが40kmはなれた森林でダイヤモンドセンター関連のゴミを捨てていたのが発見されて、生ゴミのDNAや破かれた手紙を手がかりに、金庫破りからたった5日で逮捕されたというオチ。ただ番組では防犯が改善されて同じ手口がつかえないと説明しただけで、逮捕後の窃盗チームも仲間を守ったりと完敗ではなかったらしいといった話は紹介されなかった。
米国フロリダ州では、厳重な現金輸送車から金塊が強奪された。これはあらかじめ輸送車のエアコンに催涙ガスをしこんでおき、リモートで操作。乗員が苦しんでいるところに警察を装ってあらわれる……まるで日本の三億円事件を思い出す展開だが、リモート操作のため輸送車から距離をとることができず、怪しまれて捕まったという。


最後に米国セレブの対立を二組紹介。女性をめぐってオーランド・ブルームジャスティン・ビーバーが争った話と、テイラー・スウィフトカニエ・ウェストが賞賛をえようと争った話。
前者は複雑な人間模様で下世話な面白さはあったが、後者の対決は社会的な評価もふくめて味わい深い。ふいにドナルド・トランプ政権下でどちらも人種的出発点に対立する立場へ変化していったことの背景なのかも、と思いついたが、はてさて米国では関連づけて考えられているのかどうか。

*1:アントワープからダイヤモンドを強盗する映画『汚れたダイヤモンド』が2017年に公開されているが、簡単に調べたかぎりは関連性がなさそう。