観星中学校へ登校する星奈にララがついていくと、以前に街で出会った天宮えれなが元気よく登校してきた。
天宮は「観星中の太陽」と呼ばれる人気者で、いつも周囲に彼女を敬愛する人々がつどっている。
そして下校した星奈とララは、早々に帰宅して家業を手伝う天宮と、その弟妹に出会う……
赤田信人と共同とはいえ、高橋晃キャラクターデザインが作画監督。スタジオダブアニメーターの速筆ぶりにあらためて驚かされる。作品立ちあげの序盤なので大量の設定画を描かなければいけないはずなのに、単独作監の第2話から間を置かずに登板とは。
脚本も、村山功シリーズ構成の4連続目。ララが自校の生徒ではないらしいことに天宮が気づく描写のように、今作はアニメで省きがちな細やかな描写が多い傾向を感じているが、脚本の作風なのか他のスタッフの意向なのか、どちらにしても好ましく思っている。
物語の本筋は天宮えれなの新プリキュアへの変身だが、とにかく天宮の新しさが好印象。
誰もが尊敬する心技体すべてそろった超人だが、敵の攻撃を初めて見た時は恐れをなして、しかし勇気をふりしぼるように生身のまま立ちむかい、その精神の力強さを見せてからプリキュアへと変身する……
過去作のプリキュアのいくつかの側面に近いところはあるが、総合することで全く違った味わいに変わっている。日常と戦闘がともに完璧か気弱かというパターンが多く、日常が気弱で戦闘が完璧という組みあわせも成長途上のキャラクターでは珍しくないが、日常の完璧さと戦闘の気弱さという組みあわせは記憶では初めてだ。弟妹のなかでもっとも年長な少年がゲームばかりしている描写も、全体として良い子が多いプリキュアの世界観では珍しい。
もちろんメインのプリキュアがオリーブ色の肌をしているデザインも、女児向けアニメとしては冒険だろう。ブラジルの帰国子女という設定を放送前に見かけたが*1、憧れの外国としてくりかえしパリを劇場版の舞台にして*2、他の海外旅行や外国人も欧米にかたよりぎみだったシリーズで、あえて南米からメインプリキュアを起用した意義は大きい。
*1:明確な公式情報は検索したかぎりでは見つからなかったが。
*2:ちゃんと物語としての必然性はあったとは思うが。『映画ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか!?』 - 法華狼の日記