今回は前後とも原作ありで、十年以内にアニメ化されたもののリメイク。
「こびとロボット」は、のび太の眠りの特技を活用して、寝ている間に仕事をしてくれる秘密道具を出す。まず実験を成功させてから、ついでに人々を助けていったが……
2009年にアニメ化*1した短編の再映像化。作画監督は2009年版と同じ三輪修で、コンテ担当はパクキョンスン。冒頭の小人視点のように煽った構図は印象的だったが、全体として牧歌的な印象だった。
物語が童話にもとづくシンプルな起承転結ストーリーだけに、もっと細部を煮詰めてアレンジを足しても良かったのでは、と感じた。2009年版は、当時はさほど印象的ではなかったが、アレンジの方向性は悪くなかったと今さらながら感じる。
「宇宙たんけん!?ウラヤマ星」は、のび太が独力で作ったロケットの紙工作が壊されてしまう。ドラえもんは慰めるため、ロケットのような推進力を出せるストローを出す……
普段より頁数が倍近く多い中期短編「のび太のスペースシャトル」のアニメ化。2008年には「天才・出木杉のロケット計画」というサブタイトルでアニメ化された*2。
原作の時点で無駄がなく、それでいて要素が多くて登場人物もまんべんなく活躍するため、描写を足し引きせず素直にアニメ化しやすそうなエピソード。今回も全体として原作に忠実で、アレンジといえば、のび太とドラえもんのケンカが空中まで展開されたことくらい。
しかし改めて見ると、工作や挑戦の楽しさを賞揚しているようで、けっこう辛辣な視線でつらぬかれているところが興味深い。冒頭で奮闘するのび太に対してから、ドラえもんはつまらないことあつかいして、熱心なのはいいこととフォローするだけ。その紙工作がジャイアンにバカにされて壊されてもオモチャあつかいして、のび太が泣くことがおかしいかのように評する。最終的に秘密道具を使って人が乗れるシャトルを作る場面にいたると、今度はのび太が冷めた言葉で宇宙探検ゴッコを楽しむ周囲に水をさしていく。
思えば他の原作中編も、もっと冒険心をもりあげる物語にもできそうなところを、冒険を辛辣にパロディしたようなエピソードが多い。たとえば今年の映画の原型になったと思われる原作中編「南海の大冒険」も、移動過程の起伏のなさを徹底的につまらなく描いた作品だった。