おおむね全話見た作品を、いくつか五十音順で。いくつか別作品の感想も後日にまとめるつもり。
『アイドルマスター SideM』
作画は安定して整っていたし、多数のアイドルキャラクターをチーム分けして区別できるようにできていたが、起伏が少なくて物語が淡々としすぎた印象。
『アイドルマスター シンデレラガールズ劇場(第2期)』
『アニメガタリズ』
オシャレ演出あるあるで構成されたOPとEDは、パロディでありつつ普通によくできていた。アニメの感想を語りあうだけの日常風景も、学生に可能な範囲で自主制作を成功させる過程も、けっこう楽しい。
ただ、日常的な学園生活から急激にメタフィクションへ移行する落差は、いくら伏線があったとはいえ衝撃的だった。何となく日常に回帰して終わる構成ともども『サムライフラメンコ』を思い出す。
『いぬやしき』
ひとりの藤子F読者としては、『中年スーパーマン左江内氏』VS『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』が楽しくないわけがない。『GANTZ』みたいに謎で引っぱらず、あっさり最初に設定を提示しておいたのも良かった。
『Infini-T Force』
序盤の3DCGアクションで期待したような爽快感がなく、娯楽としては期待外れ。タツノコヒーローのクロスオーバー作品というより、思春期的なとまどいをもつ少女が状況にゆりうごかされて自己を確立していくSF版『中学生日記』だった。
最初の大型バイクに乗る姿から期待したほどには少女が行動的でなく、ただ捨て鉢なだけだったことも残念。最終的な結論は悪くないが、長く描いた悩みのわりには平凡。
『EVIL OR LIVE』
前例はあるものの全話シネマスコープサイズという試みは興味深かったが、作画が弱くて効果を上げられていなかった。刑務所のように服装が没個性で閉鎖的な矯正施設を舞台としているので、ひたすら画面が地味。暴力で肉体が汚れたり傷つく描写も、絵が弱くて実感がない。たぶん実写ドラマにしたほうが良かったと思う。
『URAHARA』
オシャレでポップな画面を目指していそうなわりに、画面分割の単調さが足をひっぱる。もっと最初から多様なワイプ表現を試すべき。
ただ、メインキャラクターの長い闇堕ちと、どんでん返しの連続をとおして、クリエイトの根源を見つめようとしたドラマは嫌いではない。
『ウルトラマンジード』
決め言葉の「ジーッとしててもドーにもならねぇ」が気恥ずかしくて、最後まで主人公のドラマに乗れなかった。かといって、もう一方の主人公も社会生活とのおりあいで苦労している設定でいて、現代の水準からすると余裕ある生活に見えてしまう……
『王様ゲーム The Animation』
全体として登場人物の頭が悪すぎる。ひとつの指令から次の指令まで24時間の余裕があるのに、試行錯誤するのが数人だけ。経験者の主人公にいたっては前ゲームから今ゲームまで何もしていない。指令を自分で決められる状況になっても、わざわざリスクを負うような条件をつけて自滅する人間ばかりで、誰にも同情しづらい。ひっぱったわりに真相の説得力も皆無。
最初に全てをあきらめた態度をとって村八分された主人公が、いつのまにか不屈のキャラクターあつかいされて、クラスメートから全幅の信頼がおかれているという展開も意味不明。最初からゲームに一貫して対抗しつづける主人公像に改変するべきだろう。対比的に声優の熱演は凄かったが……
『お酒は夫婦になってから』
普段の職場でのキリッとした場面がもっとないと、アルコールでだらしなくなるギャップが際立たない。
『血界戦線 & BEYOND』
ED演出でひさびさに松本理恵がクレジットされたり、全体としてアニメ1期を尊重した作りなのが好ましかった。
『Code:Realize 〜創世の姫君〜』
いかにもゲームらしい装飾的なデザインを簡素化して、あまり動かさずにアニメ化。しかし簡素化の程度が一定から落ちず、印象は悪くない。すべてを再現しようとして現場に負担をかけるより、これくらい力を抜いて安定させたほうが見やすい。
ヒロインが毒の体をもつため誰も生身でふれられない設定も、ストイックな雰囲気につながった。これくらい気負わない作品もあっていい。
『このはな綺譚』
怪奇譚的な重い話を、キャラクターの軽やかさは損ねないまま、ちゃんと重く描けていた。舞台の此花亭が成立した経緯をきちんと主人公の物語にくみこんだことで、日常のつづく物語なりにまとまりもある。
『十二大戦』
同期のデスゲーム物と比べれば、それなりに知恵をつかった異能アクションになっていて、娯楽活劇としては充分だった。手描き作画と3DCGを自然におりまぜたバトルアニメとしての見どころはある。
ただ、過去回想をしたキャラクターから敗北していくというデスゲーム物のパターンを崩すことはできなかった。原作で最初に発表されたという最終話が、過程はともかく結論が平凡だったのも残念。
『つうかあ』
メカを媒介とした百合であり、男を媒介とした百合である。争奪する対象であった時のコーチが顔を見せず、争奪できる対象ではなくなった時からコーチの顔が見えるという演出がわかりやすい。
ただ、レース物として見ると、1クールかけながら実質的にひとつの試合だけ、それも天候不順などの不規則な状況で終わったのが残念。
『Dies irae』
作画をはじめとして色々と雑だった第0話は、無くても良かった。本編も設定や物語は凡庸で、中途半端すぎるところで放送を中断したことには唖然とした。ただ、異能アクションアニメとしては力のぬきどころがうまくて、描き込んでいないのに戦闘描写はきちんと成立していた。
『ネト充のススメ』
作画が安定するだけでなく、第2話など表現主義的な見どころがあった。ネットとリアルそれぞれのつらさを描きつつ肯定しようとする物語の大筋も嫌いではない。
しかし、ネットゲームとリアルのギャップで楽しませるには、リアルでも人間関係がつながっているという御都合主義が多すぎた。近隣在住の人間でチームを組んだという設定をなんとかこじつけることはできなかったか。
『干物妹!うまるちゃんR』
周囲に友人ができすぎて、外面内面のギャップ描写がどんどん意味をなさなくなり、ジャンルが変わってきている。初期と最近の『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の変化と同じだ。その結果として残ったゲーム愛好設定を起点として、デパートの栄枯盛衰をめぐる物語は良かったが。
『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
EDの動きのぎこちなさが、演出や作画の意図かどうかはともかく、学生の幼さの表現としてよくできていた。
しかし性的に解放されている作品なようでいて、後半にホモフォビアな描写が増えてきたのが残念。『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』と同じく、保守反動な性的消費観を内面化することからは逃れられなかった。
『ラブ米 -WE LOVE RICE- 二期作』
キャラクターが増えるアイドルアニメ続編の悪癖として、既存のアイドル個々の印象が薄くなった本筋は残念。ただ単発の『君の名は。』パロディは5分間に凝縮徹底して良かった。
『ラブライブ!サンシャイン!! 2期』
それなりに深刻なことでも、日常のせせこましいことでも、全力で悲しんで全力で楽しむ……そんな日々の一瞬を大切にしようとする青春物語として、とても良かった。悪印象だけだった1期のライバルチームを、その性格を変えることなくフォローしたことも感心した。大きな目標で敗北した後の、その先を描く物語だったと作品全体を位置づけたOPギミックも素晴らしい。
『妖怪アパートの幽雅な日常』
優等生という設定で不良を批判しながら、自身の価値観が不良漫画でしかない主人公に違和感。さらに個人主義な現代を憂うことと、パターナリズムを批判することを同時にやろうとして、他人が近づいても遠ざかっても主人公が不満をもらすという、ひたすら身勝手なキャラクターになってしまっている。
全てが運命論で結論づけられることや、作画の弱さもあって、まるで宗教アニメを見ているかのよう。原作小説の評判を調べると、これでも漫画化からTVアニメ化をへてマイルドになっているらしいが……