法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『劇場版トリニティセブン-悠久図書館と錬金術少女-』

魔王候補として王立ビブリア学園にかよう春日アラタの前に、リリムという幼女があらわれ、パパと呼んでしたう。
さらにラスト・トリニティという白き魔王が学園に出没。どうやら春日を倒すために現れたらしいが……


錦織博監督を初めとして、2014年のTVアニメ版と同じスタッフで、2017年に公開された中編映画。55分の尺の内、冒頭5分をTVアニメ編集の設定説明に、後半5分をエンドロールに費やしている。
劇場版「トリニティセブン」公式サイト
原作は漫画なのだが、いかにも典型的な学園異能バトル設定であることや、会話の応酬による設定の解明で物語を進めることから、ライトノベルが原作のような印象がTVアニメ版にはあった。


そうした印象や物語の方向性は劇場版でも変わらず、映像表現がスクリーンにあわせて緻密になったわけでもない。物語も、お風呂場のお色気サービスといい、たいした信念もなく倒されるだけの敵といい、ゲストキャラクターとの別離といい、特に目新しさもない内容に終始した。
しかし印象としては、意外なほど「映画」らしさがあった。おそらく、ゴチック建築風の王立ビブリア学園だけを舞台としたことで、背景美術の緻密さが前面に出たおかげだろう。彩度の低さや映像の動きの少なさも、派手なアクションアニメを求めると期待外れになるが、闖入者との生活をつみかさねるドラマならば落ちついた映画らしさにつながる。