法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ゆるゆり なちゅやちゅみ!』

夏休み、いつものメンバーで少し遠出。いつもよりゆるく、たわいもない少女たちの時間を切りとる。


TVアニメ3期も決定した人気作の、約1時間のOVA*1。TVアニメ1期2期とはスタッフや制作会社を変え、2014年11月に劇場公開された。
ちゃんと映画らしい作品という評判を聞いていたが、ちょっと期待外れだった。OVAのイベント上映と思って観ると映画なのかもしれないが、映画と思ってモニターで視聴するとあくまでOVA


ひとつながりの物語として描くため、やりとりごとの明確なオチはない。そのためギャグを期待するとメリハリが弱い。おちついたカメラワークとロングショットの多用は映画らしいが、かわりにTVアニメのような作画の見どころがない。
ならば完全にTVアニメとは異なる文芸的な映画かというと、それほどでもない。冒頭シーンのような悪ふざけや、サブキャラクターほど「百合」な関係は共通している。夏休みの物語を冬に公開することへのメタな言及もある。


TVアニメと違うのは、語り口が淡々としていて、赤座あかりの影がうすくないこと。あかりは周囲のめんどくさい人間関係に巻きこまれこそしないが、それゆえ安心できる存在として物語の中心に立っている。
これが何に似ているかというと、原作の印象に近い。単にTVアニメより忠実というより、ひとつの漫画として読んだ時の印象を、そのままアニメ化したかのよう。
TVアニメが人気だったのに、方向性を変えたOVAの評判が良かったのは、ギャグアニメにしてほしくなかった原作ファンが支持したためか。それとも、あかりイジメで笑わせようとする作風にしんどい思いをしていた視聴者が多かったためか。
たしかに、TVアニメのような刺激こそなかったが、後味が悪くない作品ではあった。

*1:公式サイトのディスクリプションでも「2014年にOVAゆるゆり なちゅやちゅみ!」が劇場上映」と表現されている。http://yuruyuri.com/