法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『タイムスクープハンター シーズン6』CODE:456293 壮絶!雪山の戦い

日本の戦国時代で類を見ない雪中進軍の顛末を、出世しようとあがく足軽の視点で描く。
制圧兵器としての弓矢と、それを凌駕する超兵器としての鉄砲の、緊迫感ある攻撃描写は番組の得意とするところ。さらに今回は雪深い山奥という状況設定で、いつも以上に逃げ場のない局面に追いつめられる。
そして密着取材しているタイムスクープハンターは、寒さのためか機器が故障してしまい、取材対象ともども瀕死の状態に陥る……


低予算番組だが、今回は一面の雪景色という風景と、カメラに飛びちる血飛沫といった要素だけで映像の力は充分。敗走中に少数で自陣へ連絡しようとする状況設定のおかげで、俳優の数が少なくても自然。しかも話が進むごとにどんどん減っていく。
東北奥地のマタギに助けられるという、いかにも戦争物らしい異文明との接触展開から、さらにひとひねり。粗末な小屋を舞台とした一夜の恐怖が描かれ、最後に戦いの虚しさが主人公につきつけられる。


ちなみに長々とした説教でさとされる結末は、シーズン4での海賊戦とそっくり。
『タイムスクープハンター シーズン4』CODE:100947 爆裂!海賊島の戦い - 法華狼の日記

兵法書を頭につめこんだ若者に対し、現実の戦闘が厳しいことを思い知らせるために、海賊衆の頭が長々と語る。テーマを台詞で安直に語らせて、このドラマが持っている良さが薄れていた。せめて味方全員が棒立ちの状況ではなく、死体を片付けたり山道を戻ったりしながら独り言のように語っていれば、ずっと映像として自然だったと思う。

しかしシーズン4とは違って、情景が圧倒的な説得力を生んでいて、ずっと自然に胸に落ちる描写となっていた。超然としたマタギの雰囲気や全体の状況から、説教を語られても不自然ではない。
この番組の監督脚本はパイロット版から全て同じなのだが、だからこそ少しでも作風を自然におとしこもうという努力が感じられて良かった。