法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

治安維持法の犠牲者数について、大屋教授が忘れているか気づいていないこと

問題は読解力か表現力か - 法華狼の日記に対して、大屋雄裕教授*1から下記ツイートが返ってきた。

大屋教授が参照している資料を持っていないので、どれほど治安維持法について詳細に書かれているかは知らない。誰がどのような数字を否認していると主張したいのかもわからない。


しかし、そもそも7万人という数字は送検者数であって逮捕者数ではないはずなのだ。せっかくだから日本共産党による説明を引こう。
治安維持法とはどんな法律だったか?

政府発表は治安維持法の送検者75,681人、起訴5,162人ですが、一連の治安法規も含めた逮捕者は数10万人、拷問・虐待による多数の死者が出ました。

つまり発端となった[twitter:@SagamiNoriaki]氏のツイートは不正確だったわけである。

SagamiNoriaki氏は後に逮捕者数が異なる説へ言及したツイートもしていたが*2、大屋教授は逮捕者数を過小評価していることに全く気づかなかったままらしい。
私へ反論するエントリで「ここで私の統計の読み方が違っているとかいう話なら健全な批判なのだが、もちろん法華狼氏の解釈は左斜め上に飛んでいくことになる」*3などと書いていたので、わざと細かな間違いを残したまま数字を操っているのではないかとすら疑っていたのだが。


むろん、虐殺された死者数を額面どおり受け取るのも危険である。
治安維持法の犠牲者は戦後どう扱われたの?

拷問で虐殺されたり獄死した人が194人、獄中で病死した人が1503人、逮捕された人は数十万人におよびます(治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟調べ)。

かつてアパルトヘイトを題材にした映画を見た時のことを思い出す。EDクレジットで流れる死者リストの少なくない数が、病死や事故死と表記されていた。もちろん記録された死因であり、実態をそのまま反映したものではない。だからこそ、国家権力が二度にわたって人格を殺したという痛みを感じた。今でも印象に残っている。

*1:ツイッターアカウントは[twitter:@takehiroohya]。

*2:http://twitter.com/SagamiNoriaki/status/409521273237028865でのこと。ただし法政大学サイトのhttp://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/rn/senji2/rnsenji2-119.htmlに「被検挙者総数は八万人に近いと思われる」と書いているのを引いたツイートをRTし、それを最終見解にしたようだ。http://twitter.com/SagamiNoriaki/status/409523250725548032

*3:http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000926.html