地岡公俊が演出。最近では演出処理まで手がけることが少なくなっているが、今回は実に素晴らしい仕事を見せてくれた。
特にアクションにおいて、極端なロングとアップをくりかえすカット構成が、山内重保演出に近いものを感じさせる。それでいてカットひとつひとつの尺が比較的に長いので、殺陣が理解しやすい。ネガ反転する演出も、山内監督版の『劇場版デジモンアドベンチャー02』を思い出させる。
作画監督は大田和寛。これまでも原画としては参加していたが、たしか東映作品での作画監督は初めてだ。やや高めの頭身で、横顔が特徴的。馬越嘉彦とも高橋晃とも違う太目の描線で、力強く動く。まつげの書き込みが特に素晴らしく、まぶたを動かすとちゃんと影まで震える。
物語についても、次回まで光牙が憑依されたままというシリーズ構成には疑問あるが、最終決戦前の個別回としてはよくできていた。
メディアの、業深き母親だからこその良き側面を描き、ひとつの救いを与える。母と息子を戦いから救ったのが、その母に使い捨てられた末娘アリアというところ、これまで物語をひっぱってきた家族らしい結末として、病んでいるからこそ納得もいく。そのアリアがイメージとしてすら画面上に姿を現さず、遺品だけで存在感を示した描写も、抑制がきいていて良かった。
身近にいる者をほとんど失って、なお状況にあらがおうとするエデンの主人公ぶりも好ましい。……いや、個別によくできた物語だけに、本来の主人公は何やっているんだという気にもなるが。