法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『新世界より』第五話 逃亡の熱帯夜

逃亡する少年少女二人の心情によりそった物語。作画がこれまでと異なるということで話題になっていた。
ストーリー|新世界より|テレビ朝日

たしかに羽山淳一作画監督らしい、やや劇画調よりの描線ではあった。しかし、同作品は前々から過去パートで意識的に個性的なアニメーターへ担当をわりふり、絵柄を変化させていた*1。それと比較すれば、そう大きな違いが見られるわけではない。公式サイトの小さな静止画では、ほとんど前後との絵柄の違いがわからないくらいだ。むしろスタッフの個性が出ることを楽しむこともある作画オタクには、期待外れだったかもしれない*2
どちらかといえば、山内重保*3演出によって独自の色合いに画面が染め上げられたがために、前後との違和感が生じたのだろう。少年少女が囚われている場面で、影をグラデーション処理していたりと、明確に手間を増やしている描写もあった。力をこめた結果として連続シリーズから突出してしまい、その不統一性が批判されたという問題としてとらえるべきかと思う。


そもそも今回の物語は地下が主な舞台となっており、色指定で独自色が出ていても、背景美術のタッチが変化していても、それぞれに意味を見いだすことはたやすい状況設定といえる。かなり意図的なスタッフわりふりではないだろうか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20121024/1351090914で言及している。

*2:他人事口調。

*3:ちなみに羽山淳一作画監督は、山内重保監督作品の『キャシャーンSins』の第10話でも登板し、より陰影の濃い劇画調の作画を行っていた。