法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダムAGE』第33話 大地に吠える

日野脚本だが、要塞にしかけられた爆弾を排除するというゲームっぽいイベントがうまく消化できていて、今回はなかなか楽しめた。
主人公だけが活躍するわけでもなく、様々な立場から多方面で爆弾を除去しながら、状況を視聴者へ自然に説明。仲間達の助けで主人公が活躍する結末まで盛り上げていった。シャナルアとキオの間に積み重ねたものがあれば、最後の抑制された語りかけも感動できたろう。


しばらくAGEシステムが使われてこなかった理由にも、上層部が効果を認めてこなかったという台詞でフォローが入った。ただ、アセム編のフリットは軍総司令官になった上に、粛清委員会を主導して連邦上層部をいっせい摘発したほどの権勢を誇っていた。やはりキオ編までに傍流に転落した経緯は描かないとおかしい。
いや、どちらかというと、アセム編において権力を持たせすぎたのが不自然だったのかも。最前線で一艦隊をひきいるくらいの立場にしておいて、肝いりの副官を総司令官へ推すことにキオ編までの時を要した、くらいの描写で良かったと思う。


映像面では、寺岡巌コンテがけっこう面白い構図を切り取っていて、殺陣も複雑で良かったと思う。隠された爆弾を抜き取る時に邪魔な装備を外すような、メカの実在感を出す描写も細かく入っていた。
主人公のうるむ瞳で、ハイライトが一回転する作画も、最近の流行を感じさせて興味深かった。ハイライトを動かすことで瞳のうるみを表現した演出は高畑勲監督までさかのぼるが、ハイライトを回転させて瞳の全体がうるんでいることを示したのは『ハチミツとクローバー』の竹内哲也コンテ演出一人原画回が嚆矢と聞く。最近では『たまゆら〜hitotose〜』の初回でも見かけた。