法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダムAGE』第47話 青い星 散りゆく命

アビス隊長が死ぬまでの展開がダメすぎる。フリット編では批判的な面も感じられた自己犠牲を*1、ただ賞揚するだけ。しかも展開に説得力がなさすぎて、悲劇として見ても薄っぺらい。


まず、アビス隊長はキオをかばうために単独で激しい戦闘を行い、動くことも脱出することもできなくなる。ここまでの展開は納得できるのだが、いきなり主人公の印象を悪くしながら、今回のうちにフォローが入らないのはどうしたものか。
次に、攻撃を優先するか隊長を助けるかの議論でキオが全く登場してこないから、ぎりぎりのタイミングで助けに入るかと思っていたが、単に別の場所にいただけで、激しい戦闘をしている様子ではない。攻撃に対するキオの反応も、ただ棒立ちで声をもらすだけ。せめて複数の敵と激しく戦っていたなら納得できたものを。隊長の戦死に気づいたそぶりどころか、その攻撃で多くの敵が死んだことを理解していないかのようだ。これでは、強すぎる主人公がいては自己犠牲する展開が作れないからと、舞台から下ろしただけにしか見えない。
そしてキオはディーンと出会って戦うのだが、アビス隊長が自己犠牲する流れと分断されていて、手早く再会して手早く戦死しただけ。せめて、ディーンが食らいついてきたため隊長を救えなかったという展開にするべきだった。展開の説得力が増すだけでなく、ディーンとの因縁が少しでも濃くなるし、隊長の死の一因となってなおディーンを殺さないキオの覚悟も際立ったろう。


今回で良かったのは、キオが敵を殺せない理由として、Xラウンダーという設定が背景にあったとことくらいかな……エスパー描写として先例あるものの*2ガンダムシリーズでは珍しいはず。

*1:第10話のこと。批判か肯定かわかりにくい描写だったため、娯楽としては褒めにくいが。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20111211/1323619585

*2:印象に残っている描写としては『超時空世紀オーガス2』等。