法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

榊一郎『ヴァーティカル』と、著者自身による解説

ファミ通文庫◆FB Online◆
インターネット上に公開中のホラー掌編。
下記Togetterはネタバレをふくむ著者の解説。
公開中「ヴァーティカル」のプロット過程 - Togetter
……さすがに著者*1自らが言及しているが、どうしても映画『鳥』と比べた時の独自性の少なさが気にかかる。
大量の鳥が襲ってくる災害的な恐怖から、鳥が何らかの意思を持って攻撃しているかのようにふるまう恐怖へ作り変えたとしているが、そもそも『鳥』のすごさは無言の結末から大自然の意思がたちあらわれているところにある。単純な攻撃だけでない被害も、ガソリンスタンドが炎上するシークエンスで描かれている。
せめて鳥の攻撃手法とその結果に焦点を当てるべきだったんじゃないかな、と思ったり。あと、盗作を恐れるなら*2、たとえば蝙蝠が同様の手法で攻撃してくるという設定に変更すればどうだったろう。嘴を持たない蝙蝠ゆえの攻撃と解釈できるし、高い知能を持って仲間と情報を共有する設定も自然で、夜間の暗闇で襲われる恐怖を描くこともできる。

*1:[twitter:@ichiro_sakaki]

*2:鳥が襲ってくるホラーは他にも複数あるので、『ヴァーティカル』くらいの共通点ならば、今さら『鳥』から盗作したと権利者から訴えられることはないだろうが。