法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第2話 二人のブレイヴ使い 月光龍ストライク・ジークヴルム咆哮!

これはすごい。王道ファンタジーに見せながら根底が風変わりすぎて、比較評価する対象が思いつかない。
異界魔族が第八大陸を作ったため、反動で地球が天変地異を起こしている27世紀。地球がリセットにいたるまでの猶予は1年間。異界魔族側は進化してリセットを乗り越えられると考え、危機感すら持っていない。一方、人類側には今のところ抗う術がない。21世紀から呼ばれた主人公は異界魔族の侵略に対してカードバトルで抗うことしか期待されておらず、人類のため戦ってもリセットまでの期間を慰める意味しかない。むろん、いずれ天変地異を解決するために主人公のバトルが意味を持っていく展開になるだろうとは予想できるが、それならばここで台詞で宣言する必要はない。あえて「慰める」という言葉を台詞にすることで、ことさらに終末感がただよう。
終末を乗り越える方法が見つからないという作品は少なくないが、わざわざ主人公を異なる時代から呼び寄せながら根本的な解決法にはならないと宣言する導入は記憶にない。しかも、大団円を迎えた作品の直接続編という例は他にないのではないだろうか*1
前作から間を置かず事前説明もなく主人公の戦いに対する姿勢が変わっていることよりも、この導入に驚かされた。


カードバトルアニメは戦いの流れが販促商品によって制限され、しかも登場させるべき商品の数が他の販促番組と比べて圧倒的に多く、かつ様々なカードを魅力的に見せる必要があるため、他の子供向けアニメと異なったシリーズ構成になる傾向がある。
しかしこの作品はカードバトルアニメの傾向を持ちながら、カードバトル以上の世界的な危機が存在するため、一般的なカードバトルアニメとも違った印象を見せている。
動きこそ少ないが相変わらず作画は安定しているし、3DCGで描かれるカードバトルも面白いのだが、王道に見えて屈折したドラマが良し悪しを超えて印象深い。

*1:ここで『機動戦士Zガンダム』を思い出したが、放映期間が開いている上に、主人公も交代している。