法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

橋下徹弁護士(業務停止中)に懲戒請求が通る

しかし現在は知事になっていて弁護士業務を行なっておらず、メディアでコメントする場合も弁護士という肩書きは必要なさそうなので、懲罰としての効果もないだろう。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201009170006.html

 弁護士の橋下徹大阪府知事(41)が知事就任前の2007年5月、山口県光市で起きた母子殺害事件の被告弁護団懲戒請求をテレビ番組で呼びかけた問題で、大阪弁護士会(金子武嗣会長)は「弁護士の品位を害する行為にあたる」と判断し、2カ月の業務停止処分とする方針を決めた。近く橋下氏側に通知する。処分に不服があれば、日本弁護士連合会に審査請求できる。

 母子殺害事件では犯行当時18歳の元少年が起訴され、弁護団は07年5月に広島高裁で始まった差し戻し控訴審で一・二審の主張を変え、殺意や強姦(ごうかん)目的を否認した。橋下氏は同月に放送された読売テレビ大阪市)の番組に出演し、「全国の人ね、あの弁護団を許せないって思うんだったら、弁護士会懲戒請求かけてもらいたい」などと呼びかけた。

 この発言に対して、12都府県の市民約340人が07年12月、「刑事弁護の正当性をおとしめる行為だ」として大阪弁護士会に橋下氏を懲戒処分するよう請求していた。

 関係者によると、第1段階の審査にあたる同弁護士会綱紀委員会が「(発言は)弁護団への批判的風潮を助長した」と判断。これを受けた懲戒委員会が今月上旬までに審査し、処分を決めたという。

 橋下綜合(そうごう)法律事務所の関係者によると、橋下氏は実質的に業務をしておらず、顧問契約は橋下氏名義ではなく、弁護士法人名義で結んでいるという。業務停止処分を受ければ事務所に出入りできなくなるが、弁護士個人としての影響はないとみられる。

つまるところ橋下事務所は問題なく業務を続けられるという。実際、弁護士として活動していた時期も自ら作った事務所の広告塔としての意味合いが強かったのだろう。
この処分決定をもって報道が強く批判するならば意味もあるだろうが、新聞記事はともかくとして、TVメディアに目立った報道は見当たらなかった。すでに報道機関の興味は別の出来事へ移っているのだろうが、もっと深く切り込んでほしかった。


それでも、一般人による懲戒請求を扇動した本人として、少しは殊勝な態度を見せるかもしれないと思っていた。どうやら処分を受け入れる方針らしいが、続く言葉から判断すると、殊勝な態度というよりは下手に争って注目されないよう身を潜めているだけでしかない気がする。
http://www.asahi.com/national/update/0917/OSK201009170060.html*1

 弁護士の橋下徹大阪府知事(41)が知事就任前の2007年5月、山口県光市で起きた母子殺害事件の被告弁護団懲戒請求をテレビ番組で呼びかけた問題で、大阪弁護士会(金子武嗣会長)は17日、「弁護士の品位を害する行為にあたる」として、橋下氏側に2カ月の業務停止処分とすると通知した。橋下氏は同日、報道陣に「何もしません」と述べ、処分を受け入れる考えを示した。

 業務停止は除名、退会命令に次ぐ処分。17日午前に橋下氏の代理人大阪市北区大阪弁護士会館を訪れ、通知を受け取った。その後、金子会長らが記者会見し、処分理由について「弁護団の弁護活動への不快感をあおり、市民に誤った認識と不信感を与えた」と説明。橋下氏に対しては「意見評論の範囲だと弁明して反省しようとせず、弁護団にも陳謝の念を示していない」と批判した。

 橋下氏は処分を受け入れる意向を示した一方で「視野の狭い弁護士数人が勝手に判断した」と指摘。その上で「品位」について「弁護士会の品位の基準と僕の基準は違う。北新地に行けば品位のない弁護士は山ほどいる。あいまいで不明確な品位を懲戒の基準にする弁護士会はどうかしている」と批判した。公務への影響に関しては「ない」と語った。

 業務停止処分を受けると、弁護士のバッジを弁護士会に返還し、弁護士の肩書を名刺などから削除しなければならない。だが、法人化している法律事務所の名称や所属する他の弁護士の業務には影響はないという。

 母子殺害事件では犯行当時18歳の元少年が起訴され、弁護団は07年5月に広島高裁で始まった差し戻し控訴審で一・二審の主張を変え、殺意や強姦(ごうかん)目的を否認した。橋下氏が同月に放送された読売テレビ大阪市)の番組で「全国の人ね、あの弁護団を許せないって思うんだったら、弁護士会懲戒請求かけてもらいたい」などと呼びかけたことに対し、市民約380人が大阪弁護士会に橋下氏を懲戒処分するよう請求していた。

ここは何といっても「北新地に行けば品位のない弁護士は山ほどいる」という指摘の筋違いぶりが目を引く。たとえ弁護士会が処分を決定した品位が橋下弁護士の考える品位と違っていたとしても、その品位が処分を決定する理由として不充分と示さなければ反論にはならない。
そもそも、かつて公式ブログでどのような文言が踊っていたか*2を記憶している一人としては、そのような意味合いで「品位」を論じるなら、真っ先に橋下弁護士が処分されるべきという結論にしかならないと思う。TVメディアや世界中に開かれたインターネットでさらけだした品位、具体例もない一般論としての歓楽街で見られる品位、どちらを実際の処分に繋げるべきかは明らかだろう。
前後するが、「視野の狭い弁護士数人が勝手に判断した」という主張もあきれたものだ。自身が扇動した懲戒請求と、判断する人数は変わらないはずだ*3。逆に、自身が扇動した懲戒請求が正当性ある根拠とした人数を考慮するならば、橋下弁護士に対して懲戒請求を行なった人数も同じような数だ。
全体的に見て、橋下弁護士(業務停止中)は自分自身が主張した通りに処分されたにすぎない。それを無視して反論することは、つまらない二重基準でしかない。

*1:同じ朝日記事だが、橋下弁護士懲戒請求した人数が異なる。

*2:一例として、「オナニー」「チンカス」といった言葉を罵倒表現として用いていた。

*3:そもそも、懲戒審査を行なうのは弁護士だけではなく、むしろそれ以外の法曹関係者が多いくらい。