法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ覇王』雑多な感想

地味に前半で西森章から渡辺正樹へ監督が交代していたが、特に不整合や不統一を感じることもなく。スポーツとしてのカードバトルを描ききったTVアニメとして、素晴らしい内容だった。
たいていのカードバトルアニメは、スポーツ的な導入でも、やがて超常現象が舞台を席巻したり、世界制覇の野望に繋がっていくもの。しかしこの作品では、世界征服の野望をギャグヒロインのバカバカしい目標として処理し、各種の超常現象もゲストキャラクターの個性として処理。どれだけ脚本で遊んでも、スポーツという枠組みが壊れないように、初期設定が完成されていた。
最後までスポーツとして描いていたから、主人公が何度となく負けても、世界大会でチャンピオンとの決勝戦にすら残れなくても、ストレスがたまらない。どのキャラクターも欠陥をかかえた好人物ばかりで、一見して三下のようなデザインのキャラクターも意外と強く、カードバトルで誰もが繋がれるというテーマに説得力があった。
棚志テガマルというライバルだけは終盤でカードバトルを踏み台として利用しそうな気配があったが、ちゃんと瀬戸際で踏みとどまって、世界大会で主人公とチャンピオンをくだす。最後まで見れば、高みに駆け上がっていくライバルと、その背中を追い続けた主人公という構図で一貫していた。


キャラクターの成長を描くドラマが面白い一方、ギャグアニメとしての質もけっこう高かった。古い流行語からニコニコ動画まで登場。
徹子の部屋ならぬキマリの部屋といったパロディから、ナレーションと会話したりナレーターから解説役を奪うメタネタ、メーテレのアナウンサーが作中ニュースから世界大会のアナウンスまで担当する楽屋オチ、等々の遊び倒しっぷりは破壊力あった。
それでいて、カードバトルよりギャグを優先した回が一度もない。どれだけ遊んでもカードバトルの軸を守ったから、物語の構成が崩れていかなかった。


同じスタッフが手がけた前作とは違うベクトルで大人も楽しませつつ、きちんと子供向けアニメとして軌道修正できていた。娯楽としてのカードバトルアニメで、一つの完成系ではないかと思う。