すでに「父」が矮小なキャラクターということは示されていたので、順当に敗北して終わり。そこで「神」とされた存在と主人公が対決するわけだが、それは神話的な謎解きで正答にたどりついて終わり。主人公が弟を取り戻す代償として、これまで主人公特権として活用してきた「罪」を差し出す流れは美しいが、禅問答的な感もあるので「真理」の欠片が代価として使えるといったような伏線はほしかったな。
それから、主人公の父親とその影の戦いとしてシリーズが収束しているので、現状では世界観も小さくまとまってしまっている。フラスコの外へ出たかっただけという真意を主人公の父だけが知る孤独感は、前向きに終わりつつある物語を全肯定しない慎重さが感じられて良かったが……