法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ルパン三世 the Last Job』

監督は一昨年に続いてアミノテツロ*1。2009年の『ルパン三世』が『名探偵コナン』との特別コラボ企画だったことを思えば、実質的に連続登板といったところか。タイトルのつけかたや、スタッフワークでも共通点が見える。
作画は前作に続いて大健闘。今回の鈴木藤雄はOPを担当しただけだが、前作が序盤で作画リソースを使い果たして中盤のアクションで止め絵が目立ったことと比べると、ぐっと全体のバランスが良くなっている。中盤でも乱闘シーンで個々のキャラクターが別個に動き、ラストでも煙エフェクト作画ががんばっていた。
物語も、何一つ目新しい部分はなかったが、そのこだわりのなさが娯楽作品にはふさわしい。気楽なアミノテツロ監督の作風が現在の『ルパン三世』には合っているのだろう。銭形警部の死を引っ張らず、ゲストヒロインの魅力を出すためだけの話にもせず、世界の危機を声高に叫ぶこともなく、シャレたシーンをテンポよく重ねていく。視聴者が当然のように予想できることを、長々と説明したりもしない。EDの頼みを無音で処理したあたり、見事だと思う。
結果として、与えられた制約にあった程度で物語がおさまり、すっきり終わって後味もいい。なかなかの佳作だった。

*1:アミノテツロー」と伸ばさない。