法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』第2話 友情のアンキラーザウルス!

最近のテレビアニメは地上デジタル移行を意識してワイド画面で制作されていることが多いが*1、アナログ放送ではサイドカットされがちだ。そのため多くの演出家はビスタサイズの利点を活かそうとしない。前作の『少年突破バシン』もそうだった。
しかし今作ではアナログ放送でもビスタサイズで見られるようになり、ワイド画面を意識した演出が見られるようになった。そして以前に少し話題となっていたワイド画面の演出論議で、言及されていない利点に一つ気づいた。
16:9の構図の分類 〜けいおん!,タユタマ,大江戸ロケット〜 - WebLab.ota
ビスタサイズ - まっつねのアニメとか作画とか
横幅に余裕があるため、画面分割がしやすいのだ*2。スタンダード画面を単純に分割すると極端な縦長となって見づらい。そこで対角線で分割するような工夫が必要となる。
今回の『少年激覇ダン』では、各ステップを読み上げる冗長さを、画面分割によってリソースを使わずテンポ良く見せている。実は前回も画面分割を効果的に使用していたが、今回はさらに工夫し各々の分割方法も変えていた。
この画面分割は、別窓で敵味方の数値を表示するというカードゲームアニメでよく見る説明手法にも通じている。ワイド画面ならではの情報量を上げる手法として、記憶しておきたい。


なお、物語自体は、いたって普通に出来たアニメ。敵の間抜けな失策も、子供向け玩具入門書としては当然の作り。
一方で、大きなお友達向けの描写も抜かりなし。4029歳の呑んだくれ魔女が豪快な格好で主人公に現状を教える場面など、色々とサンライズの業を感じさせる。

*1:正確には、それ以前から潮流はある。記憶している限り、1999年制作の『ベターマン』がTVアニメでビスタサイズ制作されるようになった嚆矢。

*2:出崎統監督はスタンダードでもワイドでも画面分割を多用するが、画面の一方を拡大縮小する場合が目立つ。これは単純に画面を分割しているというより、異なる演出意図の視点を一つに重ねるオーバーラップに近い。