法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『狼と香辛料III』支倉凍砂著

中世ヨーロッパ風な舞台における、行商人ロレンスと異教神ホロの旅物語。題名の「III」はローマ数字の3。
今回は主人公の相棒であるホロへ、若き魚商人アマーティが求婚を申し込む。情熱的で直情的なアマーティの態度に、主人公は余裕をもって応じようとするが、ホロの故郷をめぐって仲違いが起き、窮地に立たされる。アニメ第二期が始まるので読んでみた。
以下、ネタバレをふくむ感想。


今回のネタは、二束三文の黄鉄鉱が占いの材料として高値で取引されるようになっている状況そのもの。
そして、主人公とホロが中盤で仲違いをした前作*1の展開をなぞるように、物語が進んでいく。だが、前作までと同じような展開と思っていると、足元をすくわれるだろう。
ただし端々の伏線がわかりやすいので、途中で大騒動の真相に見当がついてしまい、それ以降は危機感が盛り上がらなかった。基本的に一発ネタなので、真相が割れると一気にオチまで見通せてしまう。楽しめたのは、気持ちがすれ違うゆえに右往左往するキャラクター描写くらい。キャラクターを読ませるライトノベルとしては正解なのだろうが。
あと、アマーティの結末にも少しはフォローがほしかったな。