法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

NaokiTakahashi氏の誤読

……というか、きちんと読まれてすらいないような。
はてなブックマーク - 実は全て同じ話 - 法華狼の日記

NaokiTakahashi 製作意図と作品内容とは別問題だろうに。その切り分けさえ出来ない発想が貧困すぎる/日本のパロディ裁判に何を期待しているのか。切り分けの微妙さが際立つだけ。「かなり厳しい」なんて評価がつくこと自体が…… 2009/06/28

発言の後者はいい。期待するべきというより、現状について書いておくべきという意図だったが、ともかくNaokiTakahashi氏の考えは了解できたつもり。
問題は、発言の前者。
実際のエントリでは下記のように書いた。
実は全て同じ話 - 法華狼の日記

しかしこのような意識で制作された作品であっても、極まれに制作者の意図を超えた主題を獲得できるのが、表現というものの面白さだとも思っている。

作者自身が語ったことと作品との差違は、マンガ『ヘタリア』へ最初に言及したエントリでも要点として扱った。

作品と作者が全く別個とまでは書いていないが、明らかに違うものとして扱っているよう読めるはず。NaokiTakahashi氏がブックマークコメントのように解釈した理由がよくわからない。
念のため補足しておくと、「擁護に回るかもしれない」という表現で示したつもりだったが、「NaokiTakahashi氏と逆の感覚を持っている」のは、「野田聖子エロゲスレは、有象無象がよってたかって野田聖子のイメージを相手にうさばらししている色彩が強く、表現というよりは表出的で、作品として実を結ぶことはなさそうであり、擁護する意義はほとんど感じられない」*1という箇所。パッケージングされていない、作品と認められないようなネタでも、素晴らしい風刺*2ができる場合があると思っている。


首をかしげながらNaokiTakahashi氏のブログを読んで、誤読の原因らしきものを見つけた。
はてな

あのさー、表現者相手に、「お前の作品内容はどうでもいい、お前個人の政治的応答/コミットメント次第でお前の表現活動を叩くか叩かないか決めるぞ?」って態度は、けんかを売ってるものとしか思えないんだけども。村上春樹の時にも同じこと言ったけど、今度は俺についてのことだから自分のこととして答えられるね。

誰の発言か示されておらず、見当違いであればもうしわけないが*3、少なくとも私は「お前の作品内容はどうでもいい、お前個人の政治的応答/コミットメント次第でお前の表現活動を叩くか叩かないか決めるぞ?」というような粗雑な主張はしていない。
私はゲーム全般をほとんど遊ばないと表明しているが、作品内容はどうでもいいどころか語ることが有意義と主張してきたし*4、もちろん個々のエロゲーどころか「陵辱ゲーム」とされる作品も否定や批判をしていない。せいぜい問題視し批判してきたのは、表出された「政治的応答」そのものに対して。
冒頭で引用したNaokiTakahashi氏の表現を借りるなら、「作品内容」は否定しないが、公言された「製作意図」の内容によっては、その「製作意図」を否定する場合があるということ。フィクションというフィルターを通さない表現活動にまで作品内容と同等な表現の自由が確保されているわけではない、という話。

*1:http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20090623/p4

*2:素晴らしい表現だから擁護すべき、という話ではない。

*3:同じエントリで「お前ら」という複数人を対象に呼びかける表現をしていること、「応答」という表現を用いていること、コメント欄で他の問題との関係を見る意見へ反発していること、誤読に通じていると解釈できること等から、私がふくまれている可能性があると判断した。

*4:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20090618/1245374062http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20090623/1245793273