第12話は、魚釣り描写と島の怪物が削除されただけで、ほとんど原作通り。
島の怪物は修行に必要な引っかけであると同時に、きちんと安全策を用意しておく師匠の誠実さを表現する描写だが、この物語進行速度からすると削除されて当然か。むしろ、もっと削るべき部分が多い。食糧を取れずに追いつめられた主人公描写が短く*1、原作通りのコメディばかり印象に残り、キャラクター作画も丸々としているので、あまり切迫感がない*2。結果として、主人公の到達した「全」と「一」の正答も説得力が感じられない。サブタイトルにもなっているのだから、ここは何とかしてほしかった。
ただ、残りの描写は悪くない。何度も登場する殺陣は止め絵やリピートでごまかさずに動いているし、洪水場面にいたっては俯瞰のロングショットという難しい構図で破綻せず映像化している。師匠と弟子のそれぞれ失ったものを思いあう場面から、作品の根幹設定へ言及する結末も良い雰囲気が出ていた。
第13話はテレコムアニメーション制作協力。普通に可もなく不可もなく、原作通りのアニメ化。煙エフェクト作画が、流行りと少し違うフォルムで巧く、目についたくらい。
街を縦横無尽に逃げる弟のアクションは残してほしかったが、この物語進行速度ならしかたないか。