はてなブックマーク - 新興宗教エンピツ教 - 法華狼の日記
gokinozaurusu なんで自虐オナニーと表明したあとも未だに本気であれを唱えていたように解釈する人が後を絶たないのかわからない。俺は南京1億を口実にこの国を滅ぼしたかっただけだよ。つか最後のエントリにブクマがつかない。 2009/06/05
方法論が間違っていると多くの人から指摘してもらったのに、結論が間違っているといわれなければ納得できないのか。参考書の巻末を盗み見て答えだけを合わせるような、そういう手軽さが相手にされない理由だと気づかないのだろうか。
さて、gokinozaurusu氏は自説が誤りと自覚しているつもりでいる。しかし、どこがどのような理由で誤っているか理解できていない。
http://d.hatena.ne.jp/gokinozaurusu/20090601/1243859635
そもそもなんでヲチスレを引用してまで
（俺の状態を的確に表してくれたこの人には感謝してる）
自虐オナニーだったのを認めてるのに、まだ「皮肉か」とか言うんだよ。
1億人なんてどう考えてもありえないだろ？
太平洋戦争の犠牲者は全世界でも6000万人だ。
南京大虐殺犠牲者一億人説が誤りという根拠として、gokinozaurusu氏は太平洋戦争全体の犠牲者数を提示した。
しかし、当たり前の話だが、太平洋戦争全体の死者数も歴史学上の推定値だ。ならば同じように日中戦争の死者数でも、それこそ南京事件の死者数でも、犠牲者数一億人説を否定することができる。
同じ歴史学上の推定値でも、太平洋戦争と南京事件とで、二重基準を用いているわけだ。自説を誤りと告白する文脈であることと、形式的な釈明すらしていないことから見て、二重基準は無自覚と考えて良さそうだ。
うまい嘘をつきたいなら、よく対象を調べ、よく考えなければ、ただの出鱈目にしかなりはしない。いわゆる、笑わせているのではなく笑われている状態だ。
ちょうど最近も、歴史や科学とはまた別の領域で、結論が合っているだけでは意味がないどころか有害という指摘をWallerstein氏がしている。
選択式問題の落とし穴 - 我が九条
先日、南京大虐殺を否定する立場の小説『暗い竈』を書いた。
『暗い竈』〜南京大虐殺不可能論密室殺人事件〜 - 法華狼の日記
たまたま休みで時間があったからとはいえ、完成するためかかった時間は一日だけ。原稿用紙にして二十枚にも満たないのだし、勢いがつけばこれくらい書ける*1。読み返した史料も直接的に想を得た一冊だけで、大部分は記憶にたよった。直後に語った通り、展開も練られていない。「自虐」的にいうと手抜きの「自慰」だ。
しかし、その程度の手間すらgokinozaurusu氏はかけていないように見える。あくまで推測だが、少なくとも文章量の違いは明らかだし、秦教授と笠原教授それぞれの『南京事件』すら未読らしいので*2目を通した資料も大きな差があるだろう。
本当は、もともと『暗い竈』は時間をおいて別の場所へ投稿するつもりだった。日記は小説を記述することに向いていないし、読みやすいわけでもないし、無駄な色眼鏡で読まれてしまいやすい。実のところ、南京大虐殺否定論者が書いた小説という観点からの感想も読みたかった*3。
なのになぜ日記に載せたかというと、gokinozaurusu氏が書いた文章の手軽さに驚いたからだ。自傷や自慰のつもりならこれくらいしぼりだせ、そういう気分だった。
そもそも、南京事件否定論者が、中国側主張を皮肉るつもりで、通説に反する膨大な犠牲者数を主張しはじめることは珍しくない。gokinozaurusu氏の文章には独自性すらないのだ。どこにでも転がっているような言説を特別に扱ってほしいなどという態度は甘えとしか思えない。むしろ何人かに言及してもらえただけでも感謝していいくらいだろう。
手品師は仕掛けがあることを前提にしながら客を酔わせてみせる。種に気づいた観客すら、その技術で感嘆させる。種も仕掛けもないという台詞は、種や仕掛けがあることを皆が知っていると確信しているからだ。下手な手品師であっても、手品師である限り、その精神を捨てないだろうし、捨ててはならない。
超能力者が嘘をついていないふりをするのは、下手な手品をごまかすためだ。下手すぎて丸わかりな手品を超能力と称しておいて、思うような反応がなかったからと手品であることを明かしたところで、かんばしい反応が来るものか。
まずは堂々と嘘をつくと宣言するんだ。宣言したくないなら、誰にも気づかれないくらい完璧に嘘を構築するんだ。土俵に上がるのはそれからだ。
*1:昔の話だが、二ヶ月間に毎日原稿用紙十枚ずつ小説を書く目標を達成したことがある。
*2:http://d.hatena.ne.jp/gokinozaurusu/20090605/1244214479
*3:日記に載せるつもりがなかった版は、結末の説明的な独白を少なくしている。
