法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ルパン三世vs名探偵コナン』

アニメ制作会社と放映局以外に共通点がほとんどない『名探偵コナン』と『ルパン三世』をコラボレーションした、2時間SPアニメ。
もちろん怪盗と名探偵が正面から対決するわけはなく、たいていの自称「VS」と同じく交互に協力するだけ。両方を立てようとすると、往々にして2作品とも印象が薄くなってしまうわけだが、『ルパン三世』的な背景設定に『名探偵コナン』のキャラクターを主軸にすることで、充分とはいわないが回避できていた。


物語の大筋は古典的な『王子と乞食』。入れ代わりが早々に明らかになるのはさておき、入れ代わり後の描写量が少なくて、ツボを外している。
他の描写も、ルパン三世と王家の因縁とか、利き手を手がかりとした謎解きとか、兵器のステルスに用いるための鉱石探索とか、ありきたりな題材を詰め込んだだけ。消化不良はないし、イベントストーリーとして見ればそれなりにまとまっているものの、脇道が多すぎる。
ただ、先述したこととかぶるが、ルパン三世江戸川コナンの導き手として動いている構図は興味深かった。映画『ルパン三世 カリオストロの城』を連想させる王家との因縁など、かつてルパン三世が貫けなかったことを、協力して後始末した結末は悪くない。いっそルパン三世はアクション面だけ担当して背景に徹し、江戸川コナンが推理を単独で担当すれば、それぞれの印象がより深くなったかもしれないな。


また、両作品のキャラクターデザインが全く異なるわりには、意外と違和感なく見ることができた。もし統一感を優先するならば、アニメはもちろんマンガも時期や作画担当によって絵柄が異なる『ルパン三世』側が『名探偵コナン』と合わせるべきだろう。しかしイベント性を優先して、あえて異なる絵柄が同居する画面にした考えもわからないではない。
作画自体もPART作画監督の多さでスケジュールの無さが伝わってきたものの、何とか全体の統一感は出せていて、特に目立つ粗はなかった。