法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン#19 イノベイターの影

安定した制作体制が生きてきて、宇宙のメカ戦闘から地上の逃亡劇まで、作画枚数を潤沢に用いながら映像に粗がない。鈴木卓也原画のアクション、宇宙船内のレイアウトもいい。OPでアニューの瞳を変更したカットも、制作の余裕をうかがわせる。
コンテは北村真咲。空間を広く取ったロングカットを多用しつつ、GN粒子の放出で画面を派手にわかりやすく見せていたことが印象的だった。


ロボットアニメとしては多様なギミックや趣向がこらされ、キャラクタードラマとしては伏線が収束しつつ新展開もあり、時間いっぱいは楽しめる回だった。
しかし登場人物全体から距離を取った作りなので*1、作中状況の厳しさに比例した感情移入ができなくて残念。


ドラマとは別に興味深かったのが冒頭の展開。
連邦に襲撃され逃げながらも、マリナは拳銃を持つことを拒否する。偽善的ではあるのだが、言葉の正しい意味で「どっちもどっち」だ。そもそも反政府組織カタロンが逃亡潜伏中にまで子供を育てようとしている状況が無茶であり、泥縄で戦うことを要求しても間にあうまい。
むしろ、まともに訓練した様子もなく、体力も無さそうなマリナが拳銃を渡されても、逃走の足を引っ張るだけではないだろうか。暗い地下道や夜間の森で下手に銃を撃っては、同士討ちの危険が高まるばかり。
以前の回で、子供達を兵士に仕立て上げるつもりはないとカタロンが宣言した以上、マリナの主張も当然とすらいえる。
制作者は理想と現実の衝突を描こうとしたのだろうが、結果的にマリナとカタロンのなしくずしぶりを象徴している場面にも思えて、良くも悪くも印象に残った。

*1:日常生活から地続きのキャラクターがサジしかいないという問題もある。