法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン#13 メメントモリ攻略戦

母艦の電池を制御し活躍したアレルヤはさておき*1、Cパートで戦いの結末を見つめるしかないマリナが情感あふれていて、脇に回ったキャラクターでも見せ場を作るバランスがいい脚本に感心した。……いや、OPでも大きく扱われているようにマリナがメインヒロインとして設定されたことは理解しているが、メインヒロインではなくゲストヒロインとして見た方が、むしろ印象に残るのではないかと真面目に思っているので。以前から。


ともかく、時間いっぱいに大規模な戦闘をくりひろげただけの満足感はあった。地味なキャラクターも可能な限り出番を作り、単純な展開ながら密度は濃い。
戦闘演出は意外と地味で、作戦も力押しの感はあったが、主人公機には陽動でスーパーロボット的な活躍をさせ、リアルロボット的な戦闘は母艦がつけるという割り振りが今回も巧くいっていた。射程距離の存在が展開上重要だったとはいえ、宇宙空間の広さを映像で理解できるよう作り込んでいたのも見事。
カタロンのスパイであるライルが戦闘の決着をつけて本当の仲間になるという結末も、1クール終了の節目として悪くない。この結末自体、カタロンとソレスタルビーイングが初めて互いに大がかりな協力をする大状況と相似形となっており、腑に落ちるドラマだった。


コンテは寺岡巌。先述したように戦闘演出は地味だったが、宇宙空間の広さがよく表現できていた。軍艦に肉薄したモビルスーツが撃破され、相対速度で振り落とされていくような面白い描写もある。前回の長崎健司より一見すると地味だが、『機動戦士ガンダム00』の作風には、愚直なくらいの寺岡巌演出が合っていると思う。
オービタルリングを活用して、敵味方の位置関係を立体的に描けていたのも素晴らしい。大規模な宇宙空間戦闘がきちんと3次元ぽく描けているアニメは珍しい。
作画は、特に突出したカットこそなかったが、通常ローテ作画スタッフだけで大規模戦闘を成り立たせたことに感心した。しかも作画の使い回しがほとんど見当たらない。よほどスタッフ采配が上手なのだろう。

*1:ガンダムアリオスが電池として使われる必然性が、映像を見るだけでもよく理解できるだけに、必然的に表で活躍できなくなったことが物悲しい。必然性なく活躍していない展開であれば、まだキャラクターにあわれみを感じなかっただろう。