法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン#11 ダブルオーの声

北村真咲コンテ演出。
たしか雑誌予告では松田寛単独だったメカ作画監督に、中谷誠一が加わっていた。
直接的な戦闘はBパートからだが、ソレスタルビーイング基地の破壊される描写が念入りで、爆煙等で地味に作画枚数を使っている。ダブルオーとオーライザーの合体する前後で作画精度が上がっており、おそらくここで中谷誠一の手が入っているのだろう。合体自体も、ガンダムらしさを外さない範囲で派手な作画演出がなされ*1、フェティッシュなメカニックの魅力が出ていた。
センサーを遮断する布に隠れたり、漂う岩石に偽装したり、わかりやすくハッタリある絵が多く、戦闘全般は娯楽作品として充分な内容。強力なビーム攻撃を受け流すように防御するとか、きちんと敵が合体中にも攻撃してくるとか、合体するため敵の注意をそらしておくとか、細かい描写もいい。
特に感心したのが、オーライザーと合体したダブルオーの、岩石を回り込むことで速度差を見せた演出。単純に3DCGの演出利用として巧いし、互いに敵機の後方へ位置しようとする「ドッグファイト」をカメラを引かずにわかりやすく見せたことも面白い。


しかし、操縦席に座った姿勢のまま全裸で精神感応するというCパートに、全ての印象を持っていかれた。宇宙で全裸で空気椅子しているようにしか見えず、何ともいえない迷場面になっている。
一応、GN粒子を介して脳量子波による精神感応ができるという前振りはあり、完全状態のダブルオーが未知の現象を引き起こすという話も耳にしていたのだが……もっとイメージ映像らしさを強調するか、精神感応する際の主観映像は無くすか、もっと自然に見せる方法はあっただろうに。
しかし良くも悪くもインパクトがあったのは確かで、意図的な迷場面なら逆に制作者へ敬意を表したい。


また、家族の写真が描写された回で即座に戦死したジニン大尉。特徴のない普通に優秀な兵士であること*2、それ自体が特長のキャラクターではあったが、この前振りは工夫がなさすぎる。前々から描写を入れておくとか、もっと部下のルイスと同じ境遇であることを強調するとか、変化を持たせてほしかった。
あるいは、戦場の死が唐突であることを示すため、前振りを一切入れないとかしても良かっただろう。キャラクター死亡の前振りは、全体的に一期の方が良かったと思う。
ともかく、家族を殺されて自らも傷つき、尊敬したソーマも殺されたと思い込み、直前にプライベートを語った上官を戦闘中に殺され、そのようなキャラクターが最悪のタイミングで元恋人の存在を知る引きは良かったが、戦闘中なので衝撃の再会がなしくずしになる予感もある。とりあえず次回待ち。

*1:過去に中谷誠一が参加した『勇者王ガオガイガー』の、キングジェイダーという巨大ロボットの合体場面に似ている。

*2:名前こそあるが特別なエピソードは語られず、周囲と同じ量産機に乗り、特別な主人公の機体と互角にわたりあってきた。変人が多いアニメだからこそ、良い意味で地味さが目立つ。