法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『TIGER & BUNNY』#13 Confidence is a planet of slow growth.(信頼という木は大きくなるのが遅い木である)

中盤までは珍しくもない展開を御都合主義に続けるだけで、ヒーロー側の行動も予想すべきことを用意しない稚拙さが目立ったが、解決法と真相を確信する伏線でひねりを入れ、うまく盛り返して着地したといったところ。


視聴者には容易に推測できたジェイクの第二能力だが、作中人物が気づいて確信できる情報は少なかった。いったん虎徹が嘘の能力をバーナビーに教え、視聴者の予想をずらしつつ、そのずらしかた自体が作戦だったという構成がうまい。視聴者は擬似的にバーナビー視点となり、虎徹に対して乱高下する評価を共感しやすくなる。嘘の能力自体も、間違っていそうな違和感を残して緊張させつつ、戦闘中のいそがしさでは一瞬信じてしまいそうになる絶妙さ。
敵が知らないはずのことを失言していた伏線も良かった。本格ミステリならば古典的すぎて工夫しないと恥ずかしいくらいだが、この作品のように他ジャンルへ応用すれば効果的。敵の失言自体が虎徹の攻撃による結果であり、描写として自然な伏線となっていると同時に、物語の流れと相乗効果を上げている。前回から虎徹の推測が的を外す描写を重ねたことで、対照的に深く考えたかのように感じさせる効果もあった。
ウロボロスが1クール目をしめる組織にしては小世帯じみていて、ジェイクの行動も愉快犯的なまま終わったが、思い返してみると一貫はしている。愉快犯だからこそ、増長して自身の能力がもう一つあることを明かしてしまったわけだし、前回も怒りにかられて失言してしまっていたわけだ。


映像面も尻上がりに良くなっていき、視聴後の満足感が高い。
クライマックスではアクション作画も充実。細かい破片の飛び散り方から、背景動画も活用した捕縛劇、ヘリコプターの破壊されるメカ作画、俯瞰で作画された立ちのぼる爆煙と見所が集中していた*1

*1:原画に中谷誠一の名前があった。