法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ころがる坂のつえ/のび太の0点脱出作戦

Aパートは木村哲コンテ。のび太を電柱に昇らせたり*1、色々と面白い作画を見せ、スラップスティックな面白味を前面に出していたが、細部の秘密道具描写が雑。
重力方向が変化する仕組みを説明する演出がつたないし、リフトストックの傾きと重力の傾きが合っていないように見える場面も多い。


Bパートは高橋渉コンテ。のび太が努力を知り成長するという、珍しい原作短編をアニメ化。原作の良さをふくらませた、まずまずの佳作。
まず、のび太が未来へ行って答案を盗み見ようとする際、最終目的地までにクッションを入れたことが良かった。ギャグ描写を増やしつつ伏線を入れ、のび太カンニングを阻止しようとする者について興味をそそらせる。原作で正体を知っている者から見ても、巧いと感じた。
時の流れをゆるやかにする秘密道具「時門」の効果を、枯れ葉で表現した演出も良い。風に吹かれて回る枯れ葉が時の流れを感じさせる。スローモーションで動く枯れ葉そのものが絵になっており、季節感も出る。
結末、中盤と同じようにタイムマシンに乗ったのび太の姿も*2、中盤と同じ構図だからこそ成長を感じさせる。ループ型時間移動SFな原作をよく咀嚼した、地味に効果的な演出。

*1:特に説明はされていないが、重力が斜めになっているため説得力がある。

*2:原作では、タイムマシンに乗る直前の姿で終わる。