法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン#7 再会と離別と

一期序盤でアレルヤが仲間の子供を殺した回想場面は、やはり『冷たい方程式』だった。すでに古典と化しているため古びはせず、驚きが減じることもないが、半年を挟んで二期まで引っ張るべきだったとも思えない。
逆に、マリーの存在は一期最終回から二期今回まで7話ほどしか描写がないのだが、半年を挟んだために積み上げたドラマがあるかのように錯覚できたのが興味深かった。新展開で驚かせ続けることに面白味があった『コードギアス』と違い、薄味な『ガンダム00』には半年の猶予期間が良い作用をもたらしている。
アレルヤとマリーの出会い自体も、互いに多重人格の一人格が消えて……つまり人格が死んでしまったという構図が、ひねくれすぎていて逆に面白い。積み上げのないドラマというより、積み上げたものが消えてしまったがゆえのドラマ。ただし、肉体的な死ではないので復活の可能性があり、喪失の悲しみを再会の喜びが上回っているので悲壮感もなく、浅い印象も否定できない。
さらに、二人の対峙した相手が、作中人物で最も寛容な一人セルゲイということもあり*1、障害がほとんどないまま再会できたことが物語を平坦にしてしまった。せめて捜索にからめて短い戦闘でもあれば、物語に起伏が生まれ、ロボットアニメとしての面目も立ったかもしれない。


冒頭に戻ると、戦闘に参加せざるをえない描写を積み上げてきて、しかし結局「撃てなかった」サジは良かった。戦場に出た人間の心理として自然だし、テロリズムに走るキャラクターを中心とした物語全体から見て良いアクセントにもなっている。
前半で戦闘が終了、しかもガンダムが機能不全になったため中断という消化不良ぶりは不満だが、大塚健メカ作画監督を初めに渡辺圭祐らスタジオへらくれすのアニメーターが集まっただけあって、画面は充実していた。GNミサイルによる反撃*2、海面を高速で滑るようなモビルスーツ戦、魚雷が空中にポップアップして煙幕をはるくだりまで、戦闘自体の密度も高い。前回の引きや作画監督やコンテ演出の予想からアクションを期待しすぎていたが、出来そのものは悪くなかった。

*1:しかしそもそもアレルヤとマリーの描写に積み上げがないため、双方と劇的な関係があるセルゲイを挟まなければドラマとして成り立たない。

*2:近距離だからオートでも命中できたのだろうと思った。しかしオートでは当てられないから射手を必要としたくらいだから、メカニックがマニュアル攻撃したものかもしれない。