〜三十路近くなヒロインに似合いすぎている貧しい服装〜
長崎健司コンテ演出回。作画監督はキャラとメカがそれぞれ大貫健一、西井正典。
キャラクター描写、特に動きのないAパートは、まだ演出家として力不足に感じる。宇宙船のような小物が少ない空間を舞台としながら、構図やカット繋ぎが普通すぎて、少しばかり間延びしていた感あり。しかしBパート以降、特にアクション全般はリソースを活かした演出で楽しめた。
まず、サンジゲン*1による、大気圏突入する宇宙船および盛大に上がる水飛沫の、視覚的に派手なCGが効果的。それにより起きた津波は手描きを用いて、巻き込んでいくモビルスーツや車両との対比で激しい水流を表現。
戦闘の舞台は装飾が少ない建造物。しかし、窓との対比や*2、ガンダム激突で内部の人間に衝撃が加えられるカットなど、書き割りではない実体ある存在として描かれている。その結果、内部に潜入する刹那や脱出に手間取るアレルヤも説得力をもって描かれる。
煽りの構図で見せたり、建造物の窓に映したり、人間と同じカットに入れたり、カメラ主観で人間を見下ろす映像を使ったり、怪獣映画の文脈を用いて、モビルスーツの巨大感も表現できている。
個性の無いモビルスーツでも、ていねいに反撃や抵抗の芝居をつけ、名も無いパイロットなりに必死さを演出。ハリボテではないメカニックの魅力が出るだけでなく、それに勝利する主人公側の強さも印象づけられた。
手間をかければ効果的な場面に、適切に手間をかけた演出だ。
物語面も、目的の明確なタイムサスペンスという筋がわかりやすく緊張感ある。依然として大きな戦略はないものの、個別の戦闘に限れば行動動機が明確なため感情移入しやすい。主人公達に便乗して囚人を解放する勢力カタロンも、いいアクセントになっている。
モビルスーツが操縦できない*3双子をわざわざガンダム操縦者として勧誘した理由はまだ不明瞭。引き込んだ主人公は、もともと考えなしに感覚で動くキャラクターなので、このまま説明されなくても受け入れられなくはないが。……それはそれとして感心したのは、この素人を実戦に投入できる説得力は画面にあったこと。狙撃用ガンダムには補助用にハロというロボットがいる設定があるため、素人でも撹乱くらいは期待できること、そしてハロは裏切りや逃亡を防ぐ監視もしているだろうことを、説明台詞にたよらず描写していた。一期から積み重ねた設定が、このような場面で活きている。