今回は、カムイユカラを編纂してアイヌ民族復権のいしずえとなった少女が取り上げられた。
番組最後で少女の残した種が芽吹いていく姿……特に今年の、アイヌ民族を先住民族と認める法案が可決され、立ち上がった議員がアイヌ民族へ向き直って拍手する光景は、日本の議会で滅多に見られない高揚感があった。
しかし、国語学者金田一京助や民俗学者柳田国男がアイヌ民話を重視する姿勢も、植民地に対する典型的な態度ではあり、素直な評価がしにくい。“未開”な少数民族の視線を用いた文明批判にいたっては、また一種の差別に繋がりかねない。
結末の、国連の動きを受けて日本でも先住民族復権に向かって世論が盛り上がったという説明も、必ずしも事実ではない。同時期のメディアではチベット虐殺問題が大きく取り上げられ*1、当然のように国内少数民族であるアイヌも大きく取り上げられるかと思えば、全くそうではなかった記憶が残っている。