法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜THE LAST SONG』第16話 花咲く町に君の名を呼ぶ

人々の頭から花が咲くという怪事件が起きる。切ることも抜くこともできない花のため、3人の超人選手はスキージャンプをおこなえなくなった。
どうやら、かつてその地域でおこなわれ、今では途絶えた神事に関係があるようだが……


初参加の中島かずき脚本。札幌オリンピックを題材にして、冗談*1のような出来事から熱血スポーツドラマが展開される。
正直な感想として、キャラクターがベタで、問題への踏みこみも浅い。日の丸を背負って飛ぶことの、この作品ならではの葛藤が描かれるかと思ったが、この題材でアイヌ民族への侵略や同化が出てこないとは思わなかった。まるで蝦夷地に最初から和人がいて、アイヌの神々とつきあっていたかのような回想が描かれる。現実に第二の東京オリンピックが開催間近で多くのトラブルが報じられているのに、全く批判も懐疑もされないことにも驚いた。
背景となる社会の出来事が葛藤を生まないから、それを乗りこえるためのドラマも生まれず、超人選手のキャラクターも類型のまま掘りさげられない。


たとえば、超人化手術を拒否したテストジャンパー雨戸がアイヌ民族で、日本人として同化を極めたオリンピック出場に嫌悪があって、神事にまつわる事件に何かの意味を見いだそうとする。しかしアイヌのものであれ、神々は人間の思いなどとは関係なく、ただ神事の奉納を求めていただけだった……くらいのひねりは欲しい。

*1:たぶん全体が超人と鳥人のダジャレ。