麻薬をめぐる警察と組織の攻防に、藤原紀香演じる謎の日本人美女がからむ香港映画。……この時点で負け戦が決まった気分になる。後はいかに有利な条件で降伏するかしかないのだ。
まず、ビデオカメラやデジタルカメラで撮影したようで、映像に全く質感がない。東映Vシネマかと思った。
演出も物語もVシネマレベル。観客が飽きないよう色気とアクションを適当に入れているだけで、物語における必然性とかあったもんじゃない。
スタント無しというアクションは頑張ったと思わなくもないが、藤原紀香が妖しい美女を演じるという配役に投げた匙を、拾いに行きたくなるほどではない。
一応、かろうじてクライマックスのアクションだけは香港映画の面目を保っている。
敵ヘリコプターに宙吊りされた自動車にしがみついたら、『ラストエンペラー』の紫禁城セット*1に激突*2。そんな不安定な状態のまま何時の間にか高層ビル街にたどりついて建設中のビルに激突*3。建設途中なため宙吊りだった巨大ガラス窓に敵味方が落下し、不安定な状況でワイヤーアクション。ガラスの透明さを活かして地面との距離を表現したり、カメラ位置を工夫したり、ヘリコプターが大爆発したりで、視覚的には満足できた。
……そのクライマックスへいたる展開に無理ありすぎて、映画全体の評価を好転させるにはいたらないが。
とにかく謎の美女「ノリカ」*4という無茶ぶりが全てを物語る映画だった。
もっとも、そういう映画と覚悟して見れば、適当に適当なカーチェイスとかあって、時間分は楽しめる。
ああ、本当に面白かった。