法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『フライトプラン』

TVで視聴。消えた○○系のミステリとして、短時間でよくまとまっていた。
ただ、主人公が妄想をいだいている可能性が序盤から指摘され、妄想オチは最初から排除できたものの、過剰に狂乱する主人公へは感情移入しにくい*1。親子愛を前面に押し出しすぎて、逆に引く。ミステリとして見るなら登場人物へ感情移入できなくても問題はないが、もう少し早くから他者の視点も入れてほしかったか。


以下、結末のネタバレをふくむ感想。
犯人の動機も、主人公が狙われた理由も、きちんと映画の中で説明がついている。主人公の狂乱までトリックの一部という点も感心した。9.11後の世界をトリックに組み込みつつ、アラブ人への偏見をうまく処理していることも、ハリウッドらしい気配りというか、逃げだった。……アラブ人への偏見をアラブ人内で語らせたり、ウマイというよりセコイ。
もし主人公が騒ぎ立てなかったら、このような状況にならなかったのではという疑問も感じたが、犯人が積極的に協力するふりをして煽ればいいだけか。しかし、大勢の乗員乗客が娘を記憶していたらどうするのかという疑問は解決法がなさそう。他人に興味があるようでいて無関心な現代という意図が制作者にあったのか。事件と関わりがない乗客の声に、その要素が感じられる。

*1:どのような形であれ、迷惑をかけるはめになった同乗者への謝意が最後までないのは、さすがにどうかと思う。いくら専門家としての知識や技術があるといっても飛行中の旅客機に故障を起こすのも、やりすぎ。