有名作品では、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で、よりによって世界遺産に地球連邦軍の基地が置かれる。オリエンタリズム的な描写ではあるものの、社会制度の中心を安易に欧米や日本に置かない設定が*1、独特なリアリティを生んでいた。
ちょうど、チベットの登場する映像作品についてまとめるページで紹介されている。
映画の中のチベット
さらにトップページでは日本で存在する様々なチベット観について、広く名前が上がっている。
http://www.geocities.jp/gogotibet/ripin/ripintop.htm
ちなみに『D.Gray-man』は、もともと原作マンガが世界各地が舞台となっているので、アニメも従っただけ。むしろアニメではモデルとなった地域との関係を薄めて描写している傾向がある。
最近、直接的に近現代のチベット抑圧をモデルにしたアニメ作品も作られた。『交響詩編エウレカセブン』*2と『FLAG』*3だ。
『交響詩編エウレカセブン』は、ボダラク*4という宗教を信奉する人々が日常的に弾圧されており、主要登場人物のボダラク虐殺に関わった過去が物語で重要な意味を持つ。ちなみに以前*5ふれた竹田菁滋プロデューサーが関わっている。
『FLAG』は、チベットをモデルとした地域が国連武力介入により華々しく独立しつつも政情が安定せず、和平のために独立時の奇蹟を報道で演出しようとする、極めて逆説的な物語。全カットをカメラ視点で構成するという野心的な演出がつらぬかれ、虚構のみで構成される映像における現実とは何か、問いかけてくる。
しかし、両作品とも興味深い問題提起を行っていると同時に、現実の問題をモデルにすることの危険性を強くはらんでいる。それも別個の問題をかかえているので、真面目に紹介しようとすると難しく、足踏みしているところ。個別の作品としては、それぞれ緻密な映像が楽しめる佳作なのだが*6。