法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

神もまた一つの虚構

http://wiredvision.jp/news/200709/2007092023.html

ネブラスカ州議会議員が神を提訴

ネブラスカ州議会議員のErnie Chambers氏が、神を相手に訴訟を起こした。地方裁判所に提出された訴状では、神が自然災害やテロ等を通じて人々に恐怖心を与え、自分への服従を強制したと訴えている。同氏はまた、神が疫病やテロ等の脅威を発することを永久にやめるよう裁判所命令を出すことも要求している。

ネブラスカ州議会議員のErnie Chambers氏(オマハ市選出、民主党)が9月14日(米国時間)、神を相手に訴訟を起こした。

全能なる神とその信者に対して、テロの脅威を止めるよう命じることを裁判所に求めている。

ネブラスカ州地方裁判所に提出された訴状(PDFファイル)は、神と、神を信じる全宗派の信徒は、「無数の人間に大きな被害をもたらすテロリズムの脅威を作り出してきたし、現在も作り続けている」と主張している。

そうした脅威が存在することは神の歴史からも明らかだ、とChambers氏は訴える。

Chambers氏は、頭韻法をうまく使って、「恐い洪水、実にひどい地震、すさまじいハリケーン、とてつもない竜巻、死を招く疫病、激しい飢饉、地を荒らす干ばつ、殺し合いの戦争、先天性の欠損症など」を引き起こしているとして、神を非難している。

訴状はさらに、神が、神にまつわる年代記を「文字に記して配布し、地上に恐怖や不安、心配、脅威、疑念を引き起こし、被告人(神)の意志への服従を強制している」とも主張する。

1970年以来、オマハ市の代表としてネブラスカ州議会議員を務めてきたChambers氏は、ダグラス郡の地方裁判所に対して、審議なしで略式判決を出すか、もしくは「裁判所がそうした行為を行なうことが無益でないと考えるならば」早々に審議の日程を決めるよう求めている。

Chambers氏はまた、神が疫病やテロの脅威を発することを永久にやめるよう裁判所命令を出すことも要求している。通常、神は全能者であると考えられているので、この命令がどう役に立つかは定かではない。

Chambers氏は、神が遍在し、全知であることは認めている。だが、神はいたるところに存在するのだから、ネブラスカ州の裁判所の司法権もおよぶはずだし、神は何でも知っているのだから、告訴通知を出す必要もない、とChambers氏は語る。

この訴訟は、Chambers氏が「あなたがどこにいようと構わないから、いるなら出てきてください」と呼びかけて神に姿を現してもらおうと努力したが、多くの被告人がそうであるように、神は呼びかけに応じず、結局原告は裁判に訴えるしかなかったということを示している。

ネブラスカ州のローカルテレビ局『WOWT』は、Chambers氏が訴訟を起こした背景には、州法がいかなる理由でも訴訟を起こす権利を認めていることを再確認する意図があったと伝えている。

Chambers氏に取材を申し込んだが、応じてもらえなかった。

また記者は、神に対しても「コメントをください」と宗派を超越した祈りを捧げたが、すぐには答えてくれなかった。

「Chambers氏」対「神」の訴訟の行方は気になるところだ。

聖書に収められた『ヨブ記』を地で行っている。
いろいろと考えさせられなくもない。ある種の偉大な宗教的な行為なのかもしれない。米国における宗教保守の浸透ぶりを思えば、民主党議員という肩書きも色々と憶測させられる。


そして新聞を読んでいたら、続編記事があった様子。

 神が地球上の多くの人々に死や破滅をもたらしているとして、米ネブラスカ州の州議員が神を地裁に提訴した。議員は神がこれらの行為を永久にやめるよう求めている。
 これに対し「God(神)」の署名がある反論書が法廷に届き、事務官はびっくり。「神は地上の法では裁けず、地裁に神に対する司法権はない」と述べられていた。
 州議員は、誰もが誰をも訴えることができると主張している。

……ちなみに米国人による自国イメージは「知的」だそうだ。うん知的ではあるとは思うよ色んな意味で。


真面目な話、裁判や訴訟がどれだけ身近に感じられ、権利としてとらえられているかの証左とは思う。権利の乱用という思いも頭をかすめるが……