法華狼の日記

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名誉棄損裁判で植村隆氏の敗訴が確定したが、勝訴した櫻井よしこ氏こそが誤りを認めて謝ったことは知られてほしい

敗訴したことは残念だが、一審二審における裁判所の動きから予想はしていた。
慰安婦巡り元朝日記者の敗訴確定 最高裁、上告退ける決定

最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は植村氏の上告を退ける決定をした。18日付。請求を棄却した一、二審判決が確定した。

 一、二審判決によると、桜井氏は、韓国の元慰安婦の証言を取り上げた1991年の朝日新聞の記事について「捏造」「意図的な虚偽報道」などとする論文を執筆した。

しかしこの名誉棄損裁判が無駄だったとは思わない。
裁判の過程で櫻井氏の根拠のひとつが虚偽だったことが明らかにされ*1、訂正にいたらせたからだ。
櫻井氏コラムで産経新聞が訂正 慰安婦問題 訴状めぐり:朝日新聞デジタル

櫻井氏は14年のコラムで、植村氏が韓国人元慰安婦・金学順(キムハクスン)さんの証言を掲載した1991年の朝日新聞記事を批判。「金学順氏は後に東京地裁に訴えを起こし、訴状で、14歳で継父に40円で売られ、3年後、17歳のとき再び継父に売られたなどと書いている」と記した。だが、金さんの訴状に「40円で売られ」「再び継父に売られた」との記述はなかった。

さらに裁判の途中で植村記事のもととなった証言録音が発見され、証言者が「挺身隊」と自認して「武力で私を奪われた」と語っていたことも判明した*2
判決確定報道に対するインターネットの反応を見ると、裁判の過程で明らかになった事実に反する植村氏への批判が少なくない。せめて報道で周知されてほしいものだが。

*1:しかし櫻井氏の釈明をあらためて考えると、本当に「時によって」証言がぶれていたのであれば、植村記事の証言が他の場での証言と違って見えたとしても、それだけでは捏造と断定できなくなるだろう。一応、売られたという証言の根幹はゆらいでいないという主張とあわせてはいるが、後述のように証言者は強制連行されたという主張もしていた。hokke-ookami.hatenablog.com

*2:コメント欄で紹介している高裁判決は、こうした証言者の自認をそのままつたえると捏造したことになると判定しているかのようで、いささか理解しがたい。hokke-ookami.hatenablog.com