法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』かぐやロボット

今回、かぐや姫から次回の世界中の御伽噺につなげるシリーズ構成に、少し感心した。
たとえば「どくさいスイッチ」と「無人境ドリンク」のように、『ドラえもん』には道具の効果から物語構成まで類似した作品がいくつもある。要するにネタの使いまわしであって、よく批判の種にもなっている。だが、アニメの今回では類似した道具を類似した商品と位置づけ、直接の関連がない話を連続しているかのように構成し直した*1
なるほど、この方法なら類似した原作を続けて使っても問題が起きない。映画『のび太の恐竜2006』に合わせて恐竜の出てくる原作ばかり使った時と違い、極端に飽きることもないだろう。


もっとも、「かぐやロボット」の展開自体は原作と似ても似つかない。
原作では、主人公が後先考えずに生命を作って、社会に受け入れられるはずもなければ殺すわけにもいかず、苦悩するという型の物語だ。両親から隠して育て、社会的に公表しづらい苦労もていねいに描かれる。結末は寓話的でこそあるものの、アニメと違い、商品として定められた別離では終わらない。
リニューアル後のアニメはスラップスティック度が高いとはいえ、叙情性にあふれていた原作をこう仕立てては、怒った人も多いと思う。

*1:厳密には次回も見ないと断言はできないが。