法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』エンジン全開!まさかの乗り物大連発

2時間SP。今回はさまざまな発明や、各国の乗り物事情を紹介していく。


ミニ映像コーナーの後、最初に紹介されるのは水上バイクの世界チャンピオンにして、発明家のフランス人フランキー・ザパタ。
水上バイクの噴出力を見て、ホースで吸いあげた水を噴射することで水上を飛び回れるフライボードを発明して億万長者に。すでに流行はすぎたが、私が住んでいる田舎の観光地の小さな海の家もレンタルしていて、世界的な商品ということを実感している。
そんなフライボードがホースによって動きが制限される問題を解決するため、単独でスケートボードのように飛行できるフライボードエアを開発。7億円もの費用がかかったという。
そしてイギリスとフランスで最もせまいドーバー海峡を、フライボードでわたる計画をたてて、飛行距離をのばす改良をおこない、くわえて燃料補給する船をひとつ中間地点に配置。
計画実行の数ヶ月前にスノースポーツの事故で生死の境をさまよったり、一度目の挑戦はボートのゆれで海上に転落したりと失敗をくりかえしながら、すぐ再挑戦して見事に成功した。
今年5月の日本の専門誌インタビューによると、まだ開発をつづけつつ世界に1機しか存在しないという。それでも100時間の講習を受ければ飛行可能で、フライボードが操縦できるならフライボードエアも操縦できるとか。
www.wjsm.co.jp


ボーダーセキュリティは意外なことに初めて米国が舞台。これまでも米国との国境が登場したことはあったが、カナダなどの米国と接する側ばかりだった。
オランダから不法就労しにきた男や、ノートパソコンにコカインを隠していた女など、よくある犯罪者も多いが、思い違いでイラク人を危険視して謝罪するはめになったり、持ち物リストを用意していた女性を前科もあるからと怪しんだが問題なかったり。
ちょっと目を引いたのが友人へ会いにきたイギリス人の男で、同性と友人以上の関係らしいとアウティングまがいの話が始まったかと思いきや、お姫様コスプレを楽しみたいYoutuberだったと判明。再生回数によって利益が生まれるため不法就労と判断されて国外退去になったが、それほどの有名人なのだろうか? アウティングになりかねないためか顔にボカシがかかっていたので判断できない。


世界各国の危なっかしい鉄道を紹介するドキュメンタリは、フィリピンのマニラで渋滞をさけるため線路に勝手に入ってトロッコのような小さな列車を人力で押したり、スイスの雪山でシールド工法マシンのような外見の除雪車両が活躍したり、インドの海上で百年前に作られて錆が進行しているパーンバン橋を2.5kmにわたって列車がつっきったり。
なかでもニューヨークのマンハッタンにある「幻の61番線」は、日本の「幻の新橋駅」を思わせる興味深い光景だった。現在も運行している多くの路線よりも深くにあり、かつてルーズベルト大統領が病身を隠すためホテルからこっそり移動するために建設されたと言われている。廃墟化しつつも線路や列車が残されている光景が絵になる。
検索するとちょうど一年ほど前にも話題になっていて、Togetterにまとめられていた。残されている列車は稼働可能で、救援車だという。
togetter.com


米国の反共政策に端を発するキューバの交通事情では、半世紀ほど前に輸入されたきりのレトロな自動車を修繕しながら走らせていることが紹介された。レトロな街並みの中心部を外れれば、道路にアスファルトがはられず土がむきだしだったりもする。
他にも遺跡調査のためタイヤがツルツルになったタクシーで山道を進んだり、収穫したバナナを運ぶため竹でイカダをつくって急流を四時間かけてくだったり。
登場するキューバ人は誰もが大変な交通事情でも誇らしげに語るが、観光特化の共産国家らしい建前だなと思ったのが正直な感想だった。


最後に、鳥類を保護するため渡り鳥を親のように育ててグライダーで移動する活動家や、近年のさまざまなハイジャック事件で乗客が撮影した映像を断片的に紹介したり。
前者は映画の予告でも見かけた記憶がある光景だが、現代らしく風力発電が渡り鳥には危険なため距離をとるよう教えたり、高速道路が昼夜をとわず明るく線がどこまでものびるため渡りの目印に最適だったり。自然環境への配慮が、渡り鳥にとって逆転している皮肉が興味深かった。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第33話 Viva! 10本立てDEトロピカれ!

一之瀬の前口上でショートストーリーがはじまる。なぜかサムライ姿で決闘する夏海と滝沢、ローラの語る浦島太郎の真実、亀の恩返し、ダイオウグソクムシの恩返し……


今作でOP参加を知った時から期待していた大地丙太郎ギャグ満載のエピソードがついに放映された。
『トロピカル~ジュ!プリキュア』第5話 先輩参上! 燃えろ!キュアフラミンゴ! - 法華狼の日記

OP演出の意外な登板から参加を期待していたが、演出処理は岩井隆央が担当していて、大地演出らしいハイテンポ感は弱かった。今作全体の方針なのか、表情の強烈さを強調するようにキャラクターのデフォルメはむしろ抑え目で、コンテだけで見てもあまり特長が出ていない。

偽OPにはじまり、二頭身のSD体型*1や紙人形のようなアクション、敵組織に変更したCM開けアイキャッチに『ハートキャッチプリキュア!』を再現したサブタイトル……単純にギャグがつめこまれているだけでなく、作品の枠組みで細部まで遊びまくっていて目がはなせない。素晴らしい作画のくるるん変身や、落語の寿限無を引用した必殺技、最後の最後のしょうもないオチまで楽しく見ることができた。
横谷昌宏シリーズ構成の脚本に、中谷友紀子キャラクターデザインによる作画監督と、メインスタッフが集まって映像も充実。いくら劇場版で共演する『ハートキャッチプリキュア!』の宣伝をかねているとはいえ、こんな完全に独立した捨て回に投入されるとは。実際に序盤の劇画調の決闘など、撮影処理もふくめてよく雰囲気が出ていた。

*1:ガンダム』シリーズでそれを手がけていた佐藤元が原画に。

『ドラえもん』スリル満点!いれかえコースで猛レース/おかたづけショールーム

ドラえもんが世界体操の応援をCM前にはじめた。前回の競技選定は五輪のためではなかったのか。


「スリル満点!いれかえコースで猛レース」は、いつもの通学にあきたのび太のため、分割された地図をいれかえていくと現実の空間も入れかわる秘密道具をドラえもんが出す。そして放課後にカーレースをはじめるが……
少し前の「ニクメナイン」*1で初参加した諸橋隼人 脚本によるアニメオリジナルストーリー。主にコンテを担当してきたつくしやまが今回は演出も手がける。ドラえもんの顔アップから車輪アップにきりかわるマッチカットが印象的。
本筋のミニカーを巨大化させて乗りこむカーレースは、上映延期が続いている今年の映画と、チクタクパニック系の玩具から着想しのかもしれない。映像をそれなり以上に動かしていたので、見ていて最低限の面白さはあった。ただ力を入れていたのは3DCGで描写したローラーコースターなどくらいで、横位置から映す省力カットが多め。
良い意味で珍しいのは、序盤の会話のなかに車にミサイルが内蔵されている伏線があること。アニメオリジナルストーリーはもちろん、原作でも意外とエピソードをまたいだ伏線は多くはない。


「おかたづけショールーム」は、野比家の母も父も物の整理に頭を悩ませる。のび太だけは気にしていなかったが、最低限のものをクローゼットに入れただけのスネ夫のミニマルな生活を知るが……
清水東脚本のアニメオリジナルストーリー。押入れにドラえもんがいるから物をほうりこめないというのび太と、そういう問題ではないと反論するドラえもんのやりとりがおかしい。
アニメオリジナルの秘密道具は、いったん持ち物すべてを収納するのではなく、あくまで選択するためのショールームなのがポイント。劇中ではバカにされるが、家族の記憶を知っていくドラマも味わいある。
ジャイアンに借りパクされた漫画をとりもどそうとして失せ物探しに応用したり、スネ夫の断捨離に協力することで捨てたものをもらって逆にモノが増えるオチになったり、シンプルな設定から展開する原作らしさがあった。

あいちトリエンナーレへの告訴で代理人をつとめる稲田龍示氏のツイッターを見ると、日本の保守派には珍しい嫌○○○派だった

与党議員である稲田朋美氏の夫であり、森友学園の顧問弁護士をつとめていた稲田龍示氏が、今度は愛知県へ慰謝料を求める裁判で代理人をつとめるという。
〈独自〉昭和天皇肖像燃やす動画は「ヘイト」 不自由展主催者を提訴 - 産経ニュース

昭和天皇の肖像を燃やすような動画作品が展示され、精神的苦痛を受けたとして、大阪府内在住の主婦3人が14日、トリエンナーレの実行委員会長を務めていた大村秀章・愛知県知事らに慰謝料を求め、大阪地裁に提訴した。代理人弁護士が取材に対し、明らかにした。

原告代理人の稲田龍示弁護士は「ヘイト行為は認められず、作品への抗議を『表現の自由の侵害』とするのは的外れ。これ以上侮辱を許さないよう全国で声を上げるべきだ」と強調した。

さまざまな誤情報が流され、抗議の枠を超えている脅迫などが殺到したことに言及するくだりはない。
「表現の不自由展・その後」について産経新聞が説明した文章でも、脅迫によって中止をせまられたことがわからない。

「不自由展」をめぐっては、政治色の強い作品が物議を醸し、開幕3日で中止に。約2カ月後に再開され、閉幕まで7日間だけ公開された。


さて、そんな稲田龍示氏だが、ツイッターのアカウントをもっている。
twitter.com
ツイートの頻度が少ないためか、あまりフォロワーもつかず話題になっていない。
調べてみると、稲田氏自身が皇室に対して好き勝手に意見していたことがわかった。竹田宮家が竹田恒泰をむかえることだとすると、血縁的には眞子氏よりずっと遠いはずだが。


女系天皇を認めなければ女性宮家を創設してもいいのか。新たな身分制度(新貴族)を認めることになる。だから一代限りだという議論もあろうが、それなら宮家にする必要はあるか?天皇を出せない宮家はそもそも概念矛盾。既に民間人だが黒田清子様の方がありがたいし、小室宮よりも竹田宮家だろう。…

難しい論理を評価するような保守派を「お宅」と表現し、保守論客が切り捨てるように求めていたりもしていた。


靖国神社へのA級戦犯合祀もそうだが、保守論客は、ミクロ的に正しいが、難しすぎて一般人が理解し難い論理を展開し保守派をうならせる。一般人は近代史ばかりをやるわけではないから、もっとマクロな視点からざっくり説明すべき。保守お宅の評価を気にして、緻密にすれば一般人はついていけない。

実際に稲田氏本人の主張は粗雑なわけだが、十五年戦争の積極的な開戦を主張するため「アジア解放の大義」を否定したりと、保守派の多くと対立する主張も見られる。


よく戦争の惨禍を二度と繰り返さないというが、日本だけが決意して誓ってできることではない。大東亜戦争も、日本はアジア解放の大義で積極的に始めたわけではなく、米国他からの禁輸で、座して死を待つわけにもいかず、やむなく始めた。力んで平和を唱えるだけで、平和が実現するわけでもない。

たしかに追いこまれて開戦したことと、大義をもって開戦したことは、その能動性が相反する。理屈の一貫性をたもとうとするところは弁護士らしいかもしれない。
だからといって歴史認識が正確なわけでもないが。そもそも宣戦布告もせずに敵国首都まで現地軍が勝手に侵攻したことを「やむなく」といえるわけがない*1
どちらにしても、あまり今のインターネットではどの立場からも受けそうにないタイプであり、注目されてこなかったこともわかる。


なかでもマスクに対する評価が、保守派でも少し特異な立ち位置にあることが興味深かった。


国民の大半がマスクをしている状況で、経済は復活したりしないだろう。マインドが冷え込み、物を買う気にならない。マスクが何かを解決すると思っている限りだめだろう。マスクを外し前向きに歩み出さないと。インフルエンザ他との比較も必要で、政治も脅すだけでなく、積極的になれるような発信を。


米国の疾病対策センター(CDC)は公共の場でのマスク着用を奨励し、過半の州は着用を義務づけた。多数の訴訟が州に起こされているはず。トランプ大統頭は、皆がマスクをしても問題がすべて消えるわけではないと言ったそうだが、その通り。国民の身体的自由の侵害を正当化する公共の福祉はないはず。


新型コロナの感染者数(患者数ではない?)とワクチン(という新薬?)でまたぞろメディアがおおはしゃぎ。基本用語の定義の説明はほとんどしないから、まさにはしゃぐ。皆でマスクして、皆でワクチン打って、変種型が出てきたら、また打って。羊の群れ並み。家畜のコレラと違い大量殺処分はないか?

不幸中の幸いにも積極的な反マスク派でこそないが*2、医療全体についても危なっかしい表現をつかっているし、自由の侵害としてマスクを位置づけている。
欧米と比べて防疫に成功した一因ととらえることで*3、むしろ日本の愛国者はマスク着用への肯定が多い印象があるなかで、稲田氏の論調は珍しい*4


それでも稲田氏本人はマスク着用で生活をしているようだが、ここで興味深いのが「アベノマスク」への評価だ。


時に嘘も必要な政治家。吉村知事の防災服がほほえましい。批判されるつらい仕事だからおもしろい?新型コロナは総理に何の責任もないが、医療崩壊になると元も子もないから、マスクが有効なふりもしないといけない。アベノマスクと揶揄する向きもあるが、布マスクが楽しみ。


ありがたや、自粛解除に夏マスク。きょう大阪の事務所にアベノマスクが届く。明日から自粛が段階的に解除されるタイミング。新型コロナとの共生には役立つだろう。駅からの道では洋食屋で、50枚きのう2500円が2000円になっていたが、安くなっても国(厚生労働省)からの贈り物はうれしいし、ありがたい。


子供が小学生だった頃の給食当番用マスクが出てきた。アベノマスクより小ぶりで、鼻と口がやっと入るくらいだが、気に入ってつけている。パンデミック用マスクなら何年か前に大量に買込み人にも分けてあげるくらいあったが、どうせ同調圧力で着けてるふりをするだけだから小さい方が具合がいい。

マスクの感染予防効果を矮小化するからこそ、つけるならば不織布よりも効果がない布マスクを歓迎して、だからこそ「アベノマスク」を肯定するという理屈。
ある意味で主張の一貫性があり、この立場なら安倍晋三政権の布マスク配布政策を肯定できるのかという意外性と納得感があった。もちろん賛同はできないが。

*1:念のため、日中戦争と対米開戦に連続性があるだけでなく、そもそも大東亜戦争日中戦争をふくむ呼称だ。 kotobank.jp

*2:念のため、新型コロナの蔓延初期は、WHO等もマスクの感染予防効果を疑問視していた。引用したツイートの時期になると、すでに積極的に着用を求める方向へ評価を変えていたが。

*3:これ自体はアジアが全体的に欧米よりも蔓延していない理由として、それなりに説得力がある理由のひとつとは思うが。

*4:感染予防政策やワクチン、さらには新型コロナによる犠牲を強く否認する極端な論調ならば、小林よしのり氏のように保守派著名人でも少なくないのだが。

そもそも政府与党が法律違反したことが、学術会議を改善するよう政府与党が要求する根拠になっていることが変では

はてなブックマーク等でもあまり指摘されていないが*1
議員怒気、官僚震え…国会軽視の裏にある自民「密室」会議の実態 | 毎日新聞

中堅議員が日本学術会議の予算案にかみ付いた。政権による会員任命拒否を機に組織変革を求めた党の提言が反映されていないというのだ。廊下に声が響く。「年末までに党が求めている改革の方向性が確認できる状況になっていなければ1円も認められない」

指摘がないのは、記事の本題ではないためか*2。それとも任命拒否問題の後日談として、すでに何度か話題になっているためか。


いずれにしても焼け太りというか説教強盗というか……引用されている台詞は、任命拒否をつづける理由すら説明しない与党が口にしていい言葉ではあるまい。
これでは政府与党が法律違反をするほど、それを既成事実として周囲がつごうよく変化するように要求できてしまう。

*1:b.hatena.ne.jp

*2:たしかに合同ヒアリングなどで公開で調査する野党に対して、責任のある与党が非公開で決めることの問題は大きい。官僚の負担も後者が大きいだろうに、可視化された前者の負担ばかり印象に残ってしまうのも問題で、民主党政権の「仕分け」に対する公正性を欠いた非難にも通じている。