法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

あいちトリエンナーレへの告訴で代理人をつとめる稲田龍示氏のツイッターを見ると、日本の保守派には珍しい嫌○○○派だった

与党議員である稲田朋美氏の夫であり、森友学園の顧問弁護士をつとめていた稲田龍示氏が、今度は愛知県へ慰謝料を求める裁判で代理人をつとめるという。
〈独自〉昭和天皇肖像燃やす動画は「ヘイト」 不自由展主催者を提訴 - 産経ニュース

昭和天皇の肖像を燃やすような動画作品が展示され、精神的苦痛を受けたとして、大阪府内在住の主婦3人が14日、トリエンナーレの実行委員会長を務めていた大村秀章・愛知県知事らに慰謝料を求め、大阪地裁に提訴した。代理人弁護士が取材に対し、明らかにした。

原告代理人の稲田龍示弁護士は「ヘイト行為は認められず、作品への抗議を『表現の自由の侵害』とするのは的外れ。これ以上侮辱を許さないよう全国で声を上げるべきだ」と強調した。

さまざまな誤情報が流され、抗議の枠を超えている脅迫などが殺到したことに言及するくだりはない。
「表現の不自由展・その後」について産経新聞が説明した文章でも、脅迫によって中止をせまられたことがわからない。

「不自由展」をめぐっては、政治色の強い作品が物議を醸し、開幕3日で中止に。約2カ月後に再開され、閉幕まで7日間だけ公開された。


さて、そんな稲田龍示氏だが、ツイッターのアカウントをもっている。
twitter.com
ツイートの頻度が少ないためか、あまりフォロワーもつかず話題になっていない。
調べてみると、稲田氏自身が皇室に対して好き勝手に意見していたことがわかった。竹田宮家が竹田恒泰をむかえることだとすると、血縁的には眞子氏よりずっと遠いはずだが。


女系天皇を認めなければ女性宮家を創設してもいいのか。新たな身分制度(新貴族)を認めることになる。だから一代限りだという議論もあろうが、それなら宮家にする必要はあるか?天皇を出せない宮家はそもそも概念矛盾。既に民間人だが黒田清子様の方がありがたいし、小室宮よりも竹田宮家だろう。…

難しい論理を評価するような保守派を「お宅」と表現し、保守論客が切り捨てるように求めていたりもしていた。


靖国神社へのA級戦犯合祀もそうだが、保守論客は、ミクロ的に正しいが、難しすぎて一般人が理解し難い論理を展開し保守派をうならせる。一般人は近代史ばかりをやるわけではないから、もっとマクロな視点からざっくり説明すべき。保守お宅の評価を気にして、緻密にすれば一般人はついていけない。

実際に稲田氏本人の主張は粗雑なわけだが、十五年戦争の積極的な開戦を主張するため「アジア解放の大義」を否定したりと、保守派の多くと対立する主張も見られる。


よく戦争の惨禍を二度と繰り返さないというが、日本だけが決意して誓ってできることではない。大東亜戦争も、日本はアジア解放の大義で積極的に始めたわけではなく、米国他からの禁輸で、座して死を待つわけにもいかず、やむなく始めた。力んで平和を唱えるだけで、平和が実現するわけでもない。

たしかに追いこまれて開戦したことと、大義をもって開戦したことは、その能動性が相反する。理屈の一貫性をたもとうとするところは弁護士らしいかもしれない。
だからといって歴史認識が正確なわけでもないが。そもそも宣戦布告もせずに敵国首都まで現地軍が勝手に侵攻したことを「やむなく」といえるわけがない*1
どちらにしても、あまり今のインターネットではどの立場からも受けそうにないタイプであり、注目されてこなかったこともわかる。


なかでもマスクに対する評価が、保守派でも少し特異な立ち位置にあることが興味深かった。


国民の大半がマスクをしている状況で、経済は復活したりしないだろう。マインドが冷え込み、物を買う気にならない。マスクが何かを解決すると思っている限りだめだろう。マスクを外し前向きに歩み出さないと。インフルエンザ他との比較も必要で、政治も脅すだけでなく、積極的になれるような発信を。


米国の疾病対策センター(CDC)は公共の場でのマスク着用を奨励し、過半の州は着用を義務づけた。多数の訴訟が州に起こされているはず。トランプ大統頭は、皆がマスクをしても問題がすべて消えるわけではないと言ったそうだが、その通り。国民の身体的自由の侵害を正当化する公共の福祉はないはず。


新型コロナの感染者数(患者数ではない?)とワクチン(という新薬?)でまたぞろメディアがおおはしゃぎ。基本用語の定義の説明はほとんどしないから、まさにはしゃぐ。皆でマスクして、皆でワクチン打って、変種型が出てきたら、また打って。羊の群れ並み。家畜のコレラと違い大量殺処分はないか?

不幸中の幸いにも積極的な反マスク派でこそないが*2、医療全体についても危なっかしい表現をつかっているし、自由の侵害としてマスクを位置づけている。
欧米と比べて防疫に成功した一因ととらえることで*3、むしろ日本の愛国者はマスク着用への肯定が多い印象があるなかで、稲田氏の論調は珍しい*4


それでも稲田氏本人はマスク着用で生活をしているようだが、ここで興味深いのが「アベノマスク」への評価だ。


時に嘘も必要な政治家。吉村知事の防災服がほほえましい。批判されるつらい仕事だからおもしろい?新型コロナは総理に何の責任もないが、医療崩壊になると元も子もないから、マスクが有効なふりもしないといけない。アベノマスクと揶揄する向きもあるが、布マスクが楽しみ。


ありがたや、自粛解除に夏マスク。きょう大阪の事務所にアベノマスクが届く。明日から自粛が段階的に解除されるタイミング。新型コロナとの共生には役立つだろう。駅からの道では洋食屋で、50枚きのう2500円が2000円になっていたが、安くなっても国(厚生労働省)からの贈り物はうれしいし、ありがたい。


子供が小学生だった頃の給食当番用マスクが出てきた。アベノマスクより小ぶりで、鼻と口がやっと入るくらいだが、気に入ってつけている。パンデミック用マスクなら何年か前に大量に買込み人にも分けてあげるくらいあったが、どうせ同調圧力で着けてるふりをするだけだから小さい方が具合がいい。

マスクの感染予防効果を矮小化するからこそ、つけるならば不織布よりも効果がない布マスクを歓迎して、だからこそ「アベノマスク」を肯定するという理屈。
ある意味で主張の一貫性があり、この立場なら安倍晋三政権の布マスク配布政策を肯定できるのかという意外性と納得感があった。もちろん賛同はできないが。

*1:念のため、日中戦争と対米開戦に連続性があるだけでなく、そもそも大東亜戦争日中戦争をふくむ呼称だ。 kotobank.jp

*2:念のため、新型コロナの蔓延初期は、WHO等もマスクの感染予防効果を疑問視していた。引用したツイートの時期になると、すでに積極的に着用を求める方向へ評価を変えていたが。

*3:これ自体はアジアが全体的に欧米よりも蔓延していない理由として、それなりに説得力がある理由のひとつとは思うが。

*4:感染予防政策やワクチン、さらには新型コロナによる犠牲を強く否認する極端な論調ならば、小林よしのり氏のように保守派著名人でも少なくないのだが。