法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ニクメナイン/スネ夫は理想のお兄さん

今回は前後とも2005年リニューアル後に初のアニメ化。


「ニクメナイン」は、ジャイアンを泥だらけにしても許される人徳の少年が登場。それを見たのび太は真似してなれなれしくするが、ジャイアンの怒りを買う。そこで薬を飲んで憎めなくなったが……
憎めない奴の芝居が作画も声優もおおげさで、媚びるように甘ったるく、あまり憎めないことの説得力がない。原作くらい道化でありつつ後を引かないドライな感じがほしい。
ただ商店街で憎まれる描写をふくらませてジャイアンたちの待たされた怒りを強調したことや、ドラえもんと感動的に引っぱった後でやはり憎まれるオチは良かった。


スネ夫は理想のお兄さん」は、スネ夫より幼く素直な少年が登場。のび太ドラえもんは首をひねるが、ニューヨークの親戚へひきとられたスネ夫の弟と思いだす。しかし弟がしたってくるのに、スネ夫は悩んでいた……
原作初期にだけ登場していたスネ夫の弟を、いなくなった設定を明示するための原作後期エピソードをアニメ化。ただし初期のスネツグ登場エピソードは単行本未収録だったので、初読時に混乱した記憶がある。
物語は、親戚が遠方からやってくるため、手紙でつくった虚像を周囲に演じてもらう古典的ストーリー。ただし親戚が無邪気で幼い弟で、兄のように立派になりたいと語らせることで、偽りでもロールモデルには意味があると感じさせもする。
初期原作の忘れられた単行本未収録設定を整理して再利用。それでいて初期のスネ夫なら金をばらまいて子供社会でも評価が高かったので、逆に後期でないと成立しない内容でもある。
原作では描写されないホームパーティーの開催まで描かれ、そのような空間だからこそいい気になったスネ夫が延長をたのむあたり、うまいアレンジ。
ただ、アメリカ的な服装スタイルを重視して足を長く見せるためか、スネツグの頭身が微妙に高すぎる感じはあった。