ドラえもんが世界体操の応援をCM前にはじめた。前回の競技選定は五輪のためではなかったのか。
「スリル満点!いれかえコースで猛レース」は、いつもの通学にあきたのび太のため、分割された地図をいれかえていくと現実の空間も入れかわる秘密道具をドラえもんが出す。そして放課後にカーレースをはじめるが……
少し前の「ニクメナイン」*1で初参加した諸橋隼人 脚本によるアニメオリジナルストーリー。主にコンテを担当してきたつくしやまが今回は演出も手がける。ドラえもんの顔アップから車輪アップにきりかわるマッチカットが印象的。
本筋のミニカーを巨大化させて乗りこむカーレースは、上映延期が続いている今年の映画と、チクタクパニック系の玩具から着想しのかもしれない。映像をそれなり以上に動かしていたので、見ていて最低限の面白さはあった。ただ力を入れていたのは3DCGで描写したローラーコースターなどくらいで、横位置から映す省力カットが多め。
良い意味で珍しいのは、序盤の会話のなかに車にミサイルが内蔵されている伏線があること。アニメオリジナルストーリーはもちろん、原作でも意外とエピソードをまたいだ伏線は多くはない。
「おかたづけショールーム」は、野比家の母も父も物の整理に頭を悩ませる。のび太だけは気にしていなかったが、最低限のものをクローゼットに入れただけのスネ夫のミニマルな生活を知るが……
清水東脚本のアニメオリジナルストーリー。押入れにドラえもんがいるから物をほうりこめないというのび太と、そういう問題ではないと反論するドラえもんのやりとりがおかしい。
アニメオリジナルの秘密道具は、いったん持ち物すべてを収納するのではなく、あくまで選択するためのショールームなのがポイント。劇中ではバカにされるが、家族の記憶を知っていくドラマも味わいある。
ジャイアンに借りパクされた漫画をとりもどそうとして失せ物探しに応用したり、スネ夫の断捨離に協力することで捨てたものをもらって逆にモノが増えるオチになったり、シンプルな設定から展開する原作らしさがあった。