法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『異世界食堂2』雑多な感想

 異世界の住人に日本の洋食をふるまう犬塚惇平ライトノベルを、2017年のTVアニメとほぼ同じスタッフで、2021年にTVアニメ化。ただし制作会社はSILVER LINK.からOLMに変更。

 キャラクターデザインがOLM所属の東海林康和に変わったこともあってか、主人公の少女アレッタの瞳が小さく、やや顔が面長のデザインになり、少し大人びた感じになった。


 しかし料理アニメとしては、『美味しんぼ』以降の進歩をつづけてきたジャンルの中ではあいかわらず内容が薄い。ひたすら食事を楽しむ『孤独のグルメ』の類型ジャンルと考えても、料理を論評するボキャブラリーの少なさと、21世紀のアニメとは思えない段取り臭い会話が童話のようだ……というか、平凡な料理でも美味しいと驚くために異世界の住人を用意したといったところか。
 一応は複数種類のカレーを食べ比べるエピソードなどもあるが、そこで逆に料理を論評する表現の幅のなさが浮き彫りになる。異世界の子供が冒頭で料理商売するエピソードでは、クリームシチューをシチューとだけ呼ぶ描写に首をかしげる。シチューそのものは他の異世界住人も知っていて、クリームシチューの特異性をきわだたせたほうが、そのままクリームコロッケを楽しむ本筋の前フリになったのではないだろうか。
 ただ、最終回のウェディングケーキで珍しく異文化衝突ギャグをやったのと、便乗プロポーズが失敗したのは良かった。特に後者は、この作品がおおきな盛りあがりを描かない意図的に平坦な物語であろうとしている象徴のように思えた。1クールTVアニメにするより、いっそ15分枠で1年間をとおして流すような形式が向いているのかもしれない。