法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『テイルズ オブ ジ アビス』雑多な感想

 同名のファンタジーゲームを、こだま兼嗣監督とサンライズ制作という座組が『結界師』につづいて2008年にTVアニメ化。ゲームの内容はまったく知らず、独立したファンタジーとして視聴した。

 作画はとおして安定して良い。ちょっと線が太くて原作のデザインとは絵柄の印象が違うが、骨太のアニメっぽさがある。『舞-HiME』のラインを思い出すシャープさ。戦争描写などで、ちゃんと複数のキャラクターを動かしているのも感心した。


 第6話から第8話まで、映像ソフトでいうと第3巻まるまる主人公の増長から失墜にあてるストレス展開が、原作どおりだとしてもサンライズアニメ感があった。『機動戦士ガンダム』シリーズの初代など複数作品や、『激闘!クラッシュギアTURBO』のような男児向けホビーアニメを思い出す。
 主人公が英雄になろうとする課題の規模が、ひとつの鉱山街が瘴気にのみこまれたことの解決という世界と比べればスケールが小さいところと、そこで主人公がおこなった行動の結果の大規模ぶりのギャップも印象深い。ちいさなことに大きな賞賛をもとめる主人公の幼さをきわだたせつつ、鼻っ柱を折るにとどまらない作品世界の真実をあばくカタストロフを発生させ、逆に誰も主人公の失敗に興味が向かなくなる……
 ただし、中盤から誰も彼もが現在の立ち位置が虚構という設定が明かされていったのは、逆に作為が鼻についた感もあった。TVアニメとして1週間に1話ずつ視聴せず、映像ソフトで一挙に視聴したのが良くなかったのかもしれないが……