法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season22』第9話 男の花道

 弓生崇智というSNS関連会社の青年社長が、ヤクザを絞め殺してしまった。資金繰りが苦しかったころにヤクザと知らずに融資を受けてしまい、そのつきあいを断とうとした結果という。ヤクザが部屋にあった果物ナイフをもっていたことなどを理由に正当防衛が認められたが、無罪放免となったことで逆にヤクザからつけねらわれることに……


 メインライターの輿水泰弘による脚本で、内村部長と因縁のあるヤクザが再登場。主要登場人物にいちいち肩書きと名前のテロップが表示されたり、クールなヤクザ映画のような印象をつくっている。
 実際、ヤクザがせまい屋上でたむろしてタバコの火をわけあう場面など、社会に追いつめられていったヤクザ者*1を描いたドラマ部分は映像にも力があって悪くない。正当防衛かどうか微妙なラインを、被害者がヤクザということで認められたことを杉下が批判したりもする。葬式すらまともにあげられないヤクザの捨て鉢な態度は、復讐のため一般人を殺害しようとしていることが劇中で描写されてなお、哀れみを感じさせる。もちろん、正当防衛をめぐる隠された真実を杉下が推理する一方、追いつめられた状況を利用してヤクザも復讐しようとして反社会性をあらわにするわけだが。
 そしてそのようなシリアスなドラマだからこそ、内村部長の頭蓋骨に電流が走るシーン*2が回想される温度差がひどい。最後のCM入りの直前に内村部長が階段から転落するシーンも、このような粗雑な展開から内村部長が以前のような俗悪なキャラクターに戻るのかと思ってスタッフの正気を疑った。

*1:現在は収入のためヤクザがスイーツ店を経営すると亀山が語り、実際に商売の場に立つわけではないと補足したが、実際は今期の第5話で一人組長が自ら和菓子作りに精を出すエピソードを描いていたばかり。ライター間の連携がとれていないのだろうか。 hokke-ookami.hatenablog.com

*2:hokke-ookami.hatenablog.com