杉下と小手鞠が亀山家に招待される。料理教室でまなんでいる亀山美和子が料理を披露したいのだという。そして料理教室で知りあったという女性弁護士の上原阿佐子もまねかれた。しかし上原の話を聞いた杉下が推理を披露して、恋人の足取りを追ううちに、宗教団体「微笑みの楽園」へ行きつく……
恒例の初回拡大スペシャルの前編。脚本は、初回を担当するのは初めての神森万里江。市井から宗教団体を追いはじめる特命係と、墜死体を発端として宗教団体に近づこうとする一課の物語を同時並行で描いていく。
予告からは昨年から話題になっている統一協会を連想させたが、かつて警察をねらうようなテロ行為をおこない名前を変えた宗教団体なので、どちらかといえばオウム真理教に近い。熱心な信仰者の白装束や社会から隔離された本部もそれらしい。
それなりに山奥の本部にはスケール感があったし、拳銃密売や暗殺者の大捕物もしっかり描いている。調子にのって推理していく杉下が、恋人の行方を知りたい上原に誘導されていたという軽いどんでん返しも悪くない。
潜入の準備として宗教団体運営の喫茶店で勧誘されたふりをする杉下や、ジャーナリストだったという恋人の関係者に聞いていっても誰もが知らないと答える不条理な局面も良かった。
この描写ふたつをふくらませて、ヒッチコック型のサスペンスのように導入しても面白かったかもしれない。メディア関係者の誰もが恋人を知らない理由は、宗教団体をおそれているという安易な答えをすぐ出して、結末でさらに違う真相を示唆したところも気がきいている。
