エルを守って、スカイランドからソラシド市に避難してきたソラ・ハレワタールたち。虹ヶ丘ヨヨによると、プリキュアが敵を浄化する時のキラキラエナジーを集めればエルの両親の呪いをとく薬ができるという。
それはそれとして、再会できた両親を再び失ったエルをなぐさめようと、聖あげはは人形劇を提案する。ハレワタールがヒーローらしさを感じて、エルも興味をもった「ももたろう」の劇に決まったが……
今作に初参加の伊藤睦美脚本、小村敏明コンテ。悲劇を解消するため戦闘後に新アイテム描写を追加しつつも、本筋は悲劇をはねかえそうとする息抜きと、アンダーグ帝国の設定説明。
けっこう色々なことをひとつのエピソードにつめこんで説明不足になっていないのは良かった。劇中劇の「えるたろう」がプリキュアとバッタモンダーとの戦いに重なって、エルをなぐさめるつもりでエルに精神的に救われた結末になったのは工夫されていた。日本の昔話を知らないハレワタールのため説明するイメージシーンで、絵本のような彩色のままアニメーションとして動かした描写も珍しくて目を引いた。
しかし、あいかわらず少人数の同じキャラクターでドラマをまわしているだけなので工夫のわりに物語や映像に新鮮味がない。前回までのスカイランドへ舞台を変えた時期は複数の名前のあるキャラクターが個性的にエピソードをいろどったので、変化がついたものだが……アクションもカット割りこそ細かいが同じ姿勢のまま敵に突進するような工夫のないカットが多い。対する敵ランボーグも鬼モチーフでありながら光弾を無数に発射する戦闘スタイルを選んで、せっかくの巨体と金棒をつかった肉弾戦を楽しませてくれない。