「ホームメイロ」は、友人の大邸宅で迷子になった経験をのび太が語る。同じような経験を自宅してもしてみたいというので、ドラえもんは家を迷路化する秘密道具を出してやるが……
2009年にアニメ化*1された中期短編を再映像化。脚本は『プリキュア』シリーズでおなじみの村山功が初参加。十年以上前にフリー脚本家になっているとはいえ、東映ではない仕事は珍しい。
絵コンテは森山瑠潮。さまざまな部屋がランダムにつながる幻惑的な表現を、同ポジで同じ場所を何度もとおるドラえもんたちで、漫画とは異なる魅力を出していた。空間をねじまげる秘密道具らしさがある。ただ、迷路の見取り図をドラえもんがつくっていくアニメオリジナル描写とは微妙な齟齬がある。空間がねじまがってつながっていることを見取り図でも視覚化すれば、むしろ不条理さの説得力があがったろうに。
また、原作でも印象的な、のび太が窓から出ようと思いつく場面で、外が夕陽に染まっていたアレンジは良い。ガラス窓をあけるまで気づかない説得力をあげつつ、時間経過の表現になっている。窓の向こうも部屋という驚きを2コマで表現した原作と同じように、アニメもテンポ良く驚きを表現してほしかったが許容できる範囲。
しかしネズミが秘密道具の上を走って回転させるアニメオリジナル展開はちょっと無理を感じた。たとえば、買い物に行こうとした母親がのび太の部屋に入ってしまい、秘密道具を動かしてしまった、くらいの展開で良かったのでは*2。
「なんでもアイス棒」は2013年の再放送。アイス化の表現できちんと撮影フィルターもしくはブラシを徹底的にかけている映像はいいが、他はあまり良いとは思わない。
hokke-ookami.hatenablog.com
*1:hokke-ookami.hatenablog.com
*2:事実として2009年版はそのようなアレンジだったし、記憶にない2005年リニューアル以前版も同様だったらしい。