法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界の働くマシンSP

 北野武が映画『首』のためカンヌに行っていて代理ロボットが登場。このネタにあわせて番組テーマを決めたのだろうか。


 最初のショート映像紹介ではボストンダイナミクスのアトラス等を紹介。スタジオで驚愕する反応が上がっていたが、すでに旧聞に属する話題であり、それが知られていないことが逆に二足歩行ロボットへの注目度が下がっている証明のように思えた。
 とはいえ、イギリスで河川のゴミを自動収集する巨大ルンバのごとき無人ボートなど、きちんと実際に稼働する初めて見るロボットもたくさん紹介され、技術よりも普遍ぶりや応用ぶりが興味深かった。


「人体をパワーアップさせるマシン」では、米国ジョンズ・ホプキンズ大学で開発されている神経の命令を電極で読みとる義手や、肉体に注射器で挿入できる決済用のチップ、エクソスケルトンの補助で歩行する技術を紹介。
 リポーターを担当するのは映画『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』で義手キャラクターを演じた義手俳優のエンジェル・ジェフリア。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』もそうだが、義手義足を自然なものとして描くべき時代ということがフィクションでもメジャーになった。


「なにを作っているのでしょうか?」は、デンマークの70km沖に建設される、洋上風力発電の現場を紹介。
 海底にあらかじめ作った基礎の上に、巨大なポールと羽を合体させる作業が80基。羽やポールを運ぶための艦船は、10基分の羽やポールを棚のようにして搭載できて、作業中はジャッキを海底までのばして船体を固定できる。
 建設のためドイツ、デンマーク、イギリス、オランダから一流の作業員があつめられ、作業船に入れない人員のために豪華客船が随行。じっくり趣味や食事を楽しみながら余裕ある作業がおこなわれる。
 もちろん組みたてでミリ単位のズレが起きないように間近で目視したり、風に対応する必要はあるのだが、確認のためポール内部にエレベーターが搭載されていたりして、労力が必要ではなさそう。
 スタジオで所ジョージがリッチな作業ぶりにあきれていたが、しかしこのレベルの国際的な事業ならこれくらい余裕をもって完成させるのが正しいと視聴者としては感じられた。


「最強の牽引トラック」はオーストラリアやニュージーランドのレッカー車で作業する人々を紹介。砂糖を運搬していて高速道路で横転した巨大トラックや、盗難車がよく乗り捨てられる崖から引きあげる事例を映す。
 サブタイトルに反して危険な状況なのにレッカー車の能力がどれも状況に追いついておらず、特に盗難車をひきあげるレッカー車は40年も使っている年代物。
 ショベルカーのような掘削機を横転から回復させるため他の掘削機で引く事例も、軽くて安全でいて鋼鉄のように強いはずのプラズマロープがちぎれた、かと思ったら途中まで回復した掘削機が自力で脱出。
 全体的にエリートや職人ではない、平凡な仕事人が失敗をくりかえしながら日々をすごしていくドキュメンタリになっていた……のだが、その題材がよりによって事故対処なのが二次災害を起こしかねなくて不安をさそう……